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アンハッピーエンド? 「ローマの休日」 [映画]

2012年1月28日(土)

 上大岡で「ローマの休日」を観る。

 監督 ウィリアム・ワイラー
 主演 オードリー・ヘプバーン
    グレゴリー・ペック
 1953年の作品

 ローマを訪れた某国の王女とアメリカの新聞記者の、はかない恋の物語。
 話の大半はコメディーで、これがとにかくうまくできている。
 冒頭で、ネグリジェとパジャマのくだりがある。
 アン王女が、おつきの女性に「ネグリジェは嫌い。パジャマで寝たい」と言う。
 「世の中には、パジャマの上だけで寝る人もいる」みたいなことも言う。
 しかし彼女の言っていることは、相手にもされない。
 で、色々あり見知らぬ男の部屋で目覚めるアン王女

 自分がパジャマを着ているのに気が付いて、あわてて下半身を確認する所なんてえのは、実にかわいらしい。
 
 とにかくオードリー・ヘプバーンのかわいらしさが、この映画の大部分を占めているのは間違いないところだ。
 1929年生まれなので、アメリカでの公開時は24歳。
 ちなみに相手役のグレゴリー・ペックは1916年生まれ。
 てことは37歳。
 うーん、映画ならまあギリギリか。
 
 後期「若大将シリーズ」の加山雄三と酒井和歌子とおんなじぐらい。
 若いころの酒井和歌子ってのも、かわいらしかったね。
 そういえば、グレゴリー・ペックも加山雄三も似た系統の顔立ちだな。
 うらやましい。
 話を「ローマの休日」に戻すと、特徴は登場人物のほとんどが良い人ばかり、ってことだ。
 アン王女がヴェスパで街中を爆走して警察に捕まっても、結婚式に向かう途中だと言えば許してくれるどころか、みんなで祝福してくれる。
 怪しい服装の秘密警察の連中も、要は王女を無事に帰したいだけの話。
 悪いといえば、だまって抜け出しちゃう王女。および自分の職業を隠してスクープ記事を物にせんとする記者(と、カメラマン)ぐらい。
 それもまあ最後には、収まるところに収まる。
 ただ2人の恋は成就しないわけで、そういう意味ではアンハッピーエンドだ。
 前回観た「アパートの鍵貸します」と、ちょうど正反対になる。
 あの2人は一時的にせよ、失業者になってしまうわけだからね。
 もっとも勤め人と王女じゃあ、背負っているものが違いすぎるか。
 さらに比較すると、「アパート」のジャック・レモンがいかにもコメディアン風の演技をするのに対して、グレゴリー・ペックはきわめて自然体。
 それでいて笑えるのは、圧倒的に「ローマ」の方だ。
 まあ脇の人(アパートの大家さんとか)が、がんばっているというのもあるが。
 この構造で脇の方がハチャメチャに頑張ると、「マルクス・ブラザーズ」の映画になるわけだ。


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直球勝負 「闇の列車、光の旅」 [映画]

2012年1月19日

 ブルーレイで「闇の列車、光の旅」を観る。
 

 南米のホンジュラスから、父や叔父とともにアメリカを目指す少女サイラ。
 密入国なので、大勢の人たちと貨物列車の上に乗っている。
 一方、メキシコのローカルギャング団の一員であるカスペル(ウィリー)。
 ギャング団のボスとともに、列車の上の人たちにカツアゲをする。
 そんなもの襲ったって、ほとんど稼ぎにならないと思う。
 乾いた雑巾を絞るようなものだ。
 結構な規模の集団のようだが、なにやら不思議な連中である。
 ボスがサイラに目をつけ襲おうとする。
 突如ウィリーが妨害。
 これには伏線がある。
 次々と登場人物たちを襲う過酷な現実に目を奪われてしまうが、話の運びはなかなか巧妙である。
 結局、ウィリーはギャング団に追われる羽目に。
 屋根の上の連中はウィリーを突き落そうとするが、今度はサイラが救う。
 ウィリーに魅かれていくサイラ。
 しかし、ウィリーは追われる身。
 本来、何の関係もない女の子は巻き込みたくない。
 このあたりも巧妙。
 もともとサイラは、この旅にさほど乗り気ではなかった。
 その最中に起きた強烈な出来事。
 一度自分を捨てた(のだろう)父親より、年の近い若者に入れ込むのは痛いほどわかる。
 父親は自分が連れ出したもんだから、とにかく心配。
 若者(ウィリー)はギャングに追われているだけではなく、自身のいきさつもあって女の子の気持ちを受け取る気にはなれない。
 一見クールそうな女の子の情熱と、元々ちんぴらだった若者の哀愁が、絵になる。
 
 監督 キャリー・ジョージ・フクナガ
 2009年の作品。
 日本の公開は2010年。
 劇場で観ておくんだった、と思うことしきりである。

 夕方、横須賀中央の「銀次」へ。
 今日もまた、やたらに寒い。
 ぬたで燗酒を2本。
  
 


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夢一夜 「アメリカン・グラフティー」 [映画]

2011年12月6日(火)

 鴨居で「アメリカン・グラフィティー」を観る。

 製作 フランシス・フォード・コッポラ
 監督 ジョージ・ルーカス
 主演 リチャード・ドレイファス
 アメリカでの公開は1973年。
 日本では974年12月に公開されている。

 舞台は、1962年のアメリカの田舎町(カリフォルニアのどこか)。
 4人の若者達が繰り広げる夏の一夜を描いた、青春映画の傑作だ。

 リチャード・ドレイファス演じるカート・ヘンダーソンは高校を卒業し、明日には東部の大学へ旅立つ。
 町の期待を背負い、奨学金をもらっての進学だが、何かその心には割り切れないものが渦巻いている。
 友人のスティーヴ・ボレンダーも、やはり東部の大学へ行く。
 こちらは、やる気満々である。小さな田舎町を抜け出すことが、うれしくてしょうがない。
 スティーヴは、カートの妹ローリーと付き合っている。
 しかし彼女にもこれからしばらくは、お互い好き勝手にしようなんて言い出す始末。
 大学へ行けば楽しいことが目白押しで、それを思う存分満喫したいと思っているわけだ。
 だが、ローリーは納得がいかない。
 だいたいこの恋自体、ローリーがしかけたものなのだ。
 スティーヴにしてみりゃあ、かわいいけれど重い女なんだろうなあ。
 スティーヴは大学に行っている間、年下の友人テリー・フィールズに自分の車を貸すことにする。
 ヴェスパしか持っていないテリーは、大喜び。
 私はよくわからないが、よっぽど良い車みたい。
 気分よく町を流しているうちに、ちゃらいねーちゃんをハントする。
 彼らには年上の仲間ジョン・ミルナーというのもいて、どうやら町のスピード・キングらしい。
 こちらは
自慢のカスタムカーに乗っている。
 昔はもてもてだったようだが、今は女の子に声をかけても、今一つパッとしない。
 やっと成功したかと思ったら、乗り込んできたのは・・・・・・
  
 一方カートは、車で見かけただけの女に恋をする。
 そんなこんなで、どたばたな夜が更けていく。
 

 ちなみに公開時には観ていない。
 当時、私は17歳の高校生で、登場人物たちと同じ年頃。
 さほど年をとったわけでもない大人が、昔を懐かしむってえスタンスに抵抗があったような気がする。
 甘ったるいオールディーズには、斜に構えるところもあったし。
 でも「ブルース・ブラザーズ」にはどかんとはまったわけだから、人間、どこでどうなるかは判らない。
 あらためて観てみれば、これはノスタルジー映画の体裁では有るが、全編に新しい物を作ろうという気持ちがみなぎっているのが判る。
 監督も出演者もみな無名の若者達。
 この作品、当初、映画会社のお偉方には大不評だったとの事。
 まあ、そうだろうなあと思う。
 私も最初の頃は、なんか訳のわからない映画だなあ、と思っていたのだから。
 それが大ヒットし、その後の映画の流れに大きな影響を与えるようになったのは、ルーカスの才能も有るが、コッポラも偉かったのではないかと思う。
 ラストに登場人物のその後が示されるというのも、この映画が初めではないか。
 カートが後に作家になったなんてのは、すっかり忘れていた。
 なるほど、幻の女に恋をするような奴だからなあ。
 他の3人については、きわめて現実的なオチがついていて、だからこそこの一夜が夢のように輝くのだ。
 それでもこの時点では、若い3人に未来はまだ夢のように開けている。
 しかしジョン・ミルナーだけが、すでに盛りを過ぎていることを自覚しているのが興味深い。
 女に関してはパッとしないし、スピード・レースもそろそろやばいのではないかと思っている。
 それでも戦えば勝つのだが、そのようなことに倦んできたガンマンのような哀愁が漂っている。
 ラジオから流れるビーチ・ボーイズを嫌い「バディー・ホリーの死んでロックンロールは終わった」というセリフを吐くのも、自分の時代が去りつつあるのを感じている証拠だ。
 やがてアメリカはベトナム戦争に突入し、イギリスからはビートルズが現れ、世界を席巻するようになる。
 「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の1955年がナンバー1としてのアメリカの時代だったとしたら、この映画は終わり予感を描いていたわけだ。 


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孤高の傑作 「ストリート・オブ・ファイヤー」 [映画]

2011年10月10日

 上大岡で「ストリート・オブ・ファイヤー」を観る。

 監督 ウォルター・ヒル。
 主演 マイケル・パレ。
 1984年の作品。
 前年に、マイケル・ジャクソンのミュージック・ヴィデオ「今夜はビート・イット」がヒット。
 そのノリで映画を一本作っちゃいました、てな感じの新感覚アクションムービー。
 ただ新感覚なのは話のテンポであって、物語そのものは、どのつく王道路線である。
 (以下ネタばれ)
 舞台は、リッチモンドという架空の街。
 エレン・エイムという女性ロック・シンガーが、故郷の街で凱旋コンサートを行っている。
 そこへ現れたのが、ボンバーズというストリートギャングみたいな集団。
 首領のレイヴェンというのがエレンにご執心で、衆人環視の中、さらっていってしまう。
 居合わせた女性が、トム・コーディーと言う男に助けを求める電報を打つ。
 彼女はリーバ・コーディーといって、下町で大衆食堂を営んでいる。
 トムは彼女の弟なのだ。
 このトムの登場シーンが良い。
 車でも、バイクでも、馬でもなく、電車に乗ってやってくるのである。
 リーバとちょっとすれ違い的に店に入り、くつろぐトム。
 そこへ、なぜかタイミング良く、ボンバーズの連中が店にやってくる。
 なんだかんだと嫌がらせをする奴らを、コーディーはあっという間にのしてしまう。
 再開を喜ぶ二人。
 リーバは、エレンがボンバーズにさらわれたことを伝える。
 しかしトムは、何故かかかわるのには乗り気じゃない様子。
 実はトムとエレンは昔付き合っていて、まあ色々あって別れたという過去があるのだ。
 で、そういう事情が有るからこそ、リーバはトムを呼んだ訳だ。
 しかし、彼女が思うようには事は進まない。
 トムと言うのはタフだが、内面はやけにナイーブな若者のようである。
 その後、酒場でマッコイという元女兵士との出会いがあり、結局金のためだと口実をつけエレンを救出することになる。
 そこで絡んでくるのが、エレンのマネージャーのビリー・フィッシュ。
 リック・モラニスが、徹頭徹尾いやみな奴を大熱演。それを通しきって最後は感動すら覚えてしまうぐらい。
 トムとマッコイ、それにビリーがチームを組み、見事エレンの奪還に成功。
 面目丸つぶれのレイヴェンは、トムへの復讐を誓うのだった。
 なぜかここでエレンへの執着は影を潜め、トムへの対抗心が心の全てを支配してしまうあたりが、この男の性格をよく表している。
 演ずるは、ウィレム・デフォー。
 ちょっと抑え目な演技が、かえって怖い。
 色々有って、最後はトムとレイヴェンの男をかけた対決が待っている。
 ここも、なかなか怖い。
 威嚇のためだろうけど、大勢のボンバーズの連中が銃器で武装して後ろで控えている。
 それに驚いた街の住民達が、どうしたかと言うと、みんな家から銃を持って集まってくるのである。
 しかも警察官立会いのもと。
 日本じゃあ考えられないよね。
 もっともアメリカだって、めったに無いだろうけど。
 この辺は、完全に西部劇のノリである。
 ウォルター・ヒルは「ロング・ライダーズ」なんてのも作っているぐらいで、こういうのはお手の物。
 音楽も「ロング・ライダーズ」と同じ、ライ・クーダー。
 しかしエレンの歌う曲なんて、ライがかかわったにしては違和感があるなあ。
 シンセ主体で、ドラムには大げさなエコーがかかっている。
 まさに時代の音で、今聴くと、やたら古臭く感じる。
 まあスターになりたい女と、それでがっぽり儲けたいマネージャーのチョイスだから、これで良いのかもしれないけど。
 なんて斜に構えた書き方をしたけど、映画としては本当に楽しめた。
 公開当時も友人達と「ついに新しい流れがやってきた」なんて興奮して話したもんだ。
 ただ結局、後に続く動きは無かったなあ。
 そういう意味でも貴重な映画だ。
  
 映画を観た後、横浜へ行き、勢いでライ・クーダーの新譜を買う。
 
 


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正統和製軽ハードボイルド 「探偵はBARにいる」 [映画]

9月14日(水)

 横須賀で「探偵はBARにいる」を観る。
 札幌の繁華街を舞台にした「ススキノ探偵シリーズ」の映画化。
 監督 橋本一
 原作 東直巳
 主演 大泉洋
 主人公の探偵は自分の事務所を持たず、仕事の連絡などは行きつけのバーで受ける設定。
 今回の依頼者は「こんどうきょうこ」と名乗る女性。
 「こんどうきょうこ」は探偵から名刺を貰ったとのことだが、探偵自身にはその記憶がない。
 やばい予感はビンビンするのだが、結局引き受けることに。
 結果、やはり、やばいことに巻き込まれていく。
 暴力的な男達によって雪原に生き埋めにされてしまうのだが、大声で叫んでも誰にも聴こえない場所ってのが、まず良い。
 それだけで、ハードボイルドな気分が盛り上がる。
 北海道という土地の持つバタ臭い雰囲気を、上手く生かしている。
 大泉洋演ずる探偵の助手を務めるのが、松田龍平。
 ハードボイルドという観点からすると、またこれが反則的にはまっている。
 はまりすぎて、ちょっと気持ち悪いぐらい。
 何せあの声、あのたたずまいである。
 ドラマ「探偵物語」に熱中した世代には、なんともいえない感慨が沸いてくる。
 ちなみに、コンビ物ってくくりからすると「傷だらけの天使」なんてのもあったな。
 コミックなら「事件屋家業」に「ハード&ルーズ」か。
 我ながら古いね、どうも。
 まあ、物語としてはすっきりしないところもあるんだけど、ハードボイルドってのは、そういうもんだし。
 なんとか、シリーズ化してもらいたい。  
 


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満天に星は満ちて 「星守る犬」 [映画]

2011年6月22日(水)

 横須賀で「星守る犬」を観る。
 北海道の山の中で、正体不明の白骨死体が発見される。
 そのそばには犬の死体。
 それは何もかも失った初老の男が、愛犬と出かけた当ての無い旅の結末だった。
 車の下から出てきた領収書を手がかりに、一人の市の職員が亡くなった男のことを調べる旅に出る。
 その職員は幼い頃から肉親を亡くし、本の世界に逃げ込むような、ちょっと自閉症気味の青年。
 最初に行った東京で、一人の少女と道ずれになる。
 きゃぴきゃぴ騒ぐ少女に青年は辟易とし、何とか追い払おうとする。
 しかし彼女もまた、彼女なりに悩みを抱えていることを知り、一緒に旅を続けることにする。
 領収書を元に、東京から北海道まで、男の足跡をたどる旅。
 映画は若い男女の旅と、犬を連れた初老の男の旅を、交互に描いていく。
 ロケ地のほとんどが、震災の被害にあった場所と重なっている。
 いわき市の浜辺で犬と男、そして行きずりの少年が戯れるシーンなど、見ていてなんとも切ない気分になる。
 映画を撮っている時は、まさかロケ地のほとんどが、とんでもないことになるとは、思ってもいなかっただろうな。
 話が進むほどに、初老の男の孤独と悲しさがクローズアップされてくる。
 男の足跡を追い続けた青年は「最後に彼は幸せな時間をすごした」とまとめる。
 しかし実際には、そのように描かれていない。
 まあ幸福な人生なんて、はたからはかれるもんじゃあないけど。
  


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奇跡って 「奇跡」 [映画]

2011年6月21日(月)

 上大岡で映画「奇跡」を観る。
 まずは映画館のあるビルの裏手にある「味楽」で、五目あんかけかた焼きそば(850円)。
 時間は11時20分頃だったが、すでに席は半分以上埋まっている。
 12時過ぎには行列の出来る人気店だ。
 酢をかけまわし、かた焼きそばをバリバリと平らげて、準備完了。
 
表の入り口に回りこんで映画館へ。

 平日の昼間なので、客の年齢層がかなり高い。
 今日はシネマイレージデイで、料金1300円というのも有るかもしれない。
 女の人はグループが多く、男は一人が多い。
 女は喫茶店に行く感覚で、男はパチンコ屋に入る感覚かな。
 肝心の映画は、九州版「スタンド・バイ・ミー」といったところ。
 親の離婚のせいで、鹿児島と博多に別れて暮らす兄弟。
 兄は母親とともに、鹿児島の実家で暮らす。
 弟は、
売れないミュージシャンである父と博多で二人暮らし。
 実家では、子供など一人でも二人でも一緒だと言ってくれる。
 しかし父と暮らす決断は、下の子がしたようだ。
 兄は、一家四人で暮らしていた大坂の暮らしが、忘れられない。
 対して弟は、父親に性格が似ているのか、案外陽気に暮らしている。
 ある日、兄は一つのうわさを耳にする。
 鹿児島から福岡に向かう新幹線「つばめ」と、福岡から鹿児島に向かう「さくら」がすれ違う時、願いを唱えると、奇跡が起こるというのだ。
 それは二人の仲間達を巻き込み、奇跡の起きる場所、熊本を目指すことになる。
 
 ハリウッド映画だと、思い入れたっぷりに盛り上げるであろうところ。
 しかし全体的に淡々とした手触りだ。
 子供達はドキュメンタリーのようなタッチで描かれる。
 特に子供だけの会話の際に顕著である。
 例外は兄の航一を演じた、まえだまえだの兄、航基。
 彼だけが、大人と同じように演技をし、役柄とあいまって孤軍奮闘している。
 周りを固める大人たちは曲者ばかりなのだが、みんなちょっとずつ控えめ。
 あくまでも主役は、子供たちなのだ。
 しかし凄い面子だよなあ。
 兄弟の父が、オダギリ・ジョー。
 母が大塚寧々。
 母方の祖父が橋爪功
 祖母が樹木稀林。
 祖父の友人に原田芳雄。
 兄の学校の先生が阿部寛に、長澤まさみときたもんだ。
 自分の学校に長澤まさみみたいな先生ががいたら、恋をする少年が居てもおかしくない。
 一昔前なら、沢口靖子の役ではないか。
 ちなみに二人とも、東宝「シンデレラ」オーディションのグランプリを、とっている。
 調べてみると、審査員特別賞には水野真紀の名前があって、おお、学校の先生が水野真紀ってのも良いなあ。
 結婚して退職なんかしちゃったら、もうがっかりだ。
 で、結婚相手が子供から見て嫌な(例えばキザな)奴だったりしたら、殺意すら抱いちゃうだろうなあ。
 しかし、どこから見ても非の打ち所の無い立派な男だったとしても、それはそれでなんか嫌だし。
 そうやって子供は自分の無力さを思い知らされ、成長していくのである。

 ありゃ、変な結論。
 もちろん映画の本筋はそういう話じゃあなくて、あくまでも離れ離れに暮らす兄弟と、その家族の物語なので、念のため。   
   


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潜水艦が格好良い 「Ⅹ-MEN ファースト・ジェネレーション」 [映画]

2011年6月20日(月)

 横須賀で「Ⅹ‐MEN ファースト・ジェネレーション」を観る。
 その生き方で敵対しているプロフェッサーⅩと、マグニートーの若き日の話。
 出だしは、第二次世界大戦の真っ最中。
 この頃は、プロフェッサーⅩ(チャールズ・エグゼヴィア)も、マグニートー(エリック・レーンシャー)もまだ子供。
 チャールズは、こちらも子供時代のミスティークと出会う。
 エリックには、その後の人生に影響を及ぼす決定的な出来事が起きる。
 時は移り1960年代。
 チャールズとエリックは、もうすっかり大人になっている。
 ミスティークだけはハイティーンぐらいに見えて、これは彼女の体質のようだ。
 幼い頃から優しくしてくれたチャールズに、ミスティークは好意を抱いている。
 しかし、チャールズにとって彼女は、恋愛の対象としては見れないようだ。
 その後ミスティークは、ミュータント仲間のハンク(後のビースト)と良い感じになる。
 しかし、ハンクが自分自身の容貌を嫌っていることには、違和感をおぼえる。
 その点マグニートーは、彼女に、ありのままの自分に誇りを持てと諭すのである。
 それは、ミュータントの人類に対する優勢を信じている、という感情が言わせているとも思われるのだが。
 何だかミスティークの話ばかりになった。
 しかし、ウルヴァリンという強力な主人公が居ない分、彼女の果たす役割が重くなっているのである。
 結局これは、正解だったと思う。
 プロフェッサーⅩは真面目な分、今ひとつ面白みが無い。
 マグニートーは、善と悪の間をさまようふらふらした奴。
 アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに落ちるのと、一緒じゃん。てな気分も漂ってくる。
 ミスティークを離れて言えば、1960年代が舞台ということで、当時の風俗や社会情勢が描かれているのが楽しい。
 ミュータントの若者達が、それぞれ自己紹介をするシーン。
 黒人のエディーの番で、バックにブッカー・T&MG‘Sの「グリーン・オニオン」がかかるあたり、思わずにやっとさせれれる。
 キューバ危機も「グリーン・オニオン」の発売も、ともに1962年である。
 冷戦時代と言うのが重要な要素になっており、初期の「007」な気分も味わえる。
 ケネディー大統領も出てくるし、私より五歳から十歳ぐらい年上のほうが、そういう面では楽しめるかもしれない。
 私自身は当時子供だったので、60年代といえば「スティングレイ」や「サンダーバード」である。
 今、毎日、デアゴスティーニのコマーシャルが流れている、あれね。
 この映画でも、潜水艦のシーンが格好良い。
 かつてのスティングレイ・ファンとしては、大興奮だった。
 
 ただ、これもシリーズ化されるようだが、胸のすくような格好良いキャラクターが居ないだけに、もつかな。
 ハン・ソロの居ないスターウォーズは、結局最後まで退屈だったものね。
 まさか、ウルヴァリン再登場とか?
 
 映画の後横須賀中央まで歩き、「神豚」で小ぶた(850円)の汁なし(100円)で、トッピングに味玉(100円)もつけて頼む。
 つまり1050円だ。
 小とはいえなかなかの量で、そのあたりは発券機にも警告が出ている。
 チャーシュー(煮豚?)の脂身が多く、またトッピングのニンニクがきいている。
 後期おじさんには、いささかへヴィーであった。
 小ラーメンに、ニンニク少なめぐらいで良かったかもしれない。

 重たい腹を抱えながら書店に行き、恩田陸の「蒲公英草紙」を買う。   


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男はつらいよ 「カサブランカ」 [映画]

6月11日(土)

 昨日、久しぶりに酒を飲んだ。
 まあ、これは番外編みたいな物。
 また今日からアルコール抜きの日々だ。

 やはり遅くまで飲んだので、体が重い。
 それでも映画ぐらいは観ることが出来る。
 雨の中、上大岡まで出かけた。
 ここの映画館は駅から地下を通っていくことが出来るので、こういう天気の日は便利である。
 
 観たのは「カサブランカ」。
 ハンフリー・ボガート主演の超有名作品。
 ナチスドイツ軍が勢力を広げつつあるヨーロッパ。
 自由の国アメリカへ脱出しようと人々は、一旦アフリカへ渡り、そこからポルトガルのリスボンを目指す。
 なぜかわからないが、リスボンからでないとアメリカには渡れないようなのだ。
 しかしその手前、仏領北アフリカの都市カサブランカでみんな足止めをくってしまう。
 リスボンへ渡れるのは、わずかな人だけである。
 そしてここでも、ナチスドイツは幅を利かせている。
 そんなカサブランカでナイトクラブを営んでいるのが、ボギー演ずるアメリカ人のリック。
 店の名前は「リックス・カフェ・アメリカン」。
 食事に酒、音楽、別室ではギャンブルも行われている。
 リックは、タフでデキる男。
 女にはクールで一見とっつきにくいが、実は人情家。周囲の信頼も厚い。
 その店に一組のカップルが現れたことから、話が転がり始める。
 男は、ヴィクター・ラズロというレジスタンスの大立者。
 女は、その妻のイルザ。
 実はこのイルザ、かつてパリでリックと愛し合った中なのだ。
 演ずるは世紀の美女、イングリット・バーグマン。
 なんだかいつも戸惑ったような目つきをしていて、しかも気位が高そう。
 それがまた男心をそそる。
 オードリー・ヘプバーンの愛くるしさ、グレース・ケリーの気品とはまた違った、はかなげな魅力がある。
 リックやラズロのようなタフな男達が心底惚れきってしまうのが、実に良くわかる。
 話は、再会したかつての恋人であるリックと、人妻イルザの関係がどうなるかと言う部分を中心に展開される。
 クールなタフガイであるリックが、イルザの事となると、とたんに女々しくなり、いやみなセリフなどはいたりする。
 そういえば昔、沢田研二が歌った「カサブランカ・ダンディー」の中に、「聞き分けの無い女を張り倒す」みたいな歌詞が有った。しかし、この映画の中のリックは、間違っても女に手を上げるようなタイプじゃあない。
 イルザに拳銃を向けられても「さあ俺を撃て」みたいなことを言ったりするのである。
 それだけ切ない思いを抱いているっていうことだな。
  
 アメリカでの公開は1942年。
 つまり第二次世界大戦の真っ最中に製作された映画だ。
 反ナチ臭はぷんぷんだが、戦意高揚映画でないところが面白い。
 クールなタフガイのようでいて複雑なリックのキャラクターは、例えばギャビン・ライアルの「深夜プラス1」にも影響を与えているような気がする。
 「BAR レモンハート」の、メガネさんとか。
 確か石原裕次郎主演の映画で、これのまんまコピーみたいなのがあったっけ。
 どうせなら渥美清で観たかったなあ。
 ギャグの類は一切無し、
 あの顔で、全編大真面目に演ずる。
 もしかしたら、大傑作になったかもしれないぞ。


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あなたに、ここに居て欲しい 「スタンド・バイ・ミー」 [映画]

6月4日(土)

 上大岡で「スタンド・バイ・ミー」を観る。
 1986年の映画。
 日本での公開は1987年。


 新聞を読む中年男。
 弁護士が刺殺された事件が書かれている。
 そこから男は、
少年時代の出来事を思い出す。

 12歳の夏休み。
 悪ガキ4人組はひょんなことから、死体を探す旅に出る。
 馬鹿なことを話しながらの珍道中。
 しかしそれぞれに問題を抱えており、涙を流す一幕も。
 色々なトラブルにも見舞われながら、やがて一行は旅の終点へ。
 そしてそこには、最大の危機が待っていた。

 一応主人公は、語り手でもあるゴーディー。
 ひ弱そうな感じで、特技は物語を作ること。
 スポーツマンの兄がいたことから、複雑なコンプレックスを抱いている。
 しかし、なんといっても、リヴァー・フェニックス演ずる
クリスである。
 男気があり、体格も立派。頭も良いらしい。
 ただ
家庭に問題があり、周囲からはろくな人生を歩まないだろうと思われている。
 またそう思われることにより、自分自身でも将来を投げちゃっているところがある。
 そんな彼が、やはり問題を抱えた仲間達と旅をすることで、何かが変わり、新たな道へと踏み出していく。
 しかしまあ、なんという結末であることか。
 人生と言うものは、残酷である。
 ゴーディーの方は念願の作家になり、家庭にも恵まれているようだ。
 「書くことに困ったら、僕達のことを書けば良い」とクリスは言った。
 そしてその話を書いたのだから、仕事としては行き詰っていたのかもしれない。
 この大人になったゴーディーを演じているのが、リチャード・ドレイファス。
 あの「アメリカン・グラフィティー」の主人公である。
 大体、この映画自体が「アメグラ」に、よく似ている。
 その主人公を演じた人をここに持ってくるのは、大胆な感じがする。
 しかし、おじさんになったリチャード・ドレイファスというのも、あらためて観ると味がある。
 「アメリカン・グラフティ」が1973年の映画だから、そこから数えて14年。
 またチンピラのリーダー、エース役で、若き日のキーファー・サザーランドも出ている。
 大ヒットドラマ「24」は2001年の作品で、「スタンド・バイ・ミー」からは14年の歳月が流れているのである。
 そこから更に10年が過ぎた。
 私はなぜか、酒抜きの日々を送っている。


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