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ぶらり東海道線の旅 静岡「多可能」「鹿島屋」 [静岡]

2006年1月11日(水)

思い立って静岡に行った。
ここのところ東海道関係に縁があり、訪れてみたくなったのだ。
本によると、良い居酒屋があるようだし。
横須賀から普通列車で行けて、日帰りが出来るのは、このあたりが限度だろう。
大船から東海道線に乗り換える。
連日の寒さに比べ、今日は温かい。
昼下がりの車窓は陽の光に溢れ、旅の気分を盛り上げる。
海の近くを通る時は海を眺め、見えないときは本を読む。

静岡駅に着いたのは、午後4時30分前だった。
北口に出る。
駅前は工事中。
地下道に入る。
チラシを配ってたり、何かを売っていたりしている。
初めての街だが、まあ目的地までは着けそうだ。
最初の店は、西武の裏の「多可能」。
駅から5分。
判りやすい。
年期の入った店構え。
良さそうな感じだ。
中に入ると、実に渋い。
これぞ大衆酒場。
右手がカウンター。
左手がテーブル。
その奥が座敷。
カウンターの奥に座る。
先客は2人。
楽しそうだ。
カウンターの中には、若いお兄さん。
痩せていて、もみ上げが長い。
ルパン三世みたい。
キリンハートランド生(500円)を頼む。
空気が乾燥していて、ビールが美味い。
ハートランドと言うのが、また良い。
土地柄に合っているような気がする。
お通しをつまみながら、つまみの検討。
「刺身ならほうぼうと金目がお勧め」とお兄さん。
ほうぼう(800円)をもらう。

周りを見渡す。
何もかもが使い込まれ、鈍い光を放っている。
時間と手間の堆積だけが作り出す空気が、有る。
すっぽりとその場に収まれば、とても居心地が良い。
夢の中にいるみたいである。
ビールを飲み終わり、酒にする。
「燗酒2合でください」と注文。
「うちはこれでして」とお兄さん。
ガラスの一合瓶を見せる。
「じゃあ、それを」
「はい」
栓を抜いて、目の前に置く。
スクリューキャップではなく、王冠だ。
瓶は何度もリサイクルされているらしく、かなり擦り傷が有る。
ここまで使われれば、瓶も本望にちがいない。
萩錦と書いてある。
地酒なのだろう。
値段は340円。
静岡らしい穏やかな味。
目の前に在る燗着け器につかっていて、注文を受けたら栓を抜いて渡す。
手早くて良い。
「銀次」みたいだ。
ぐい飲みも、銀次と同じ白いやつ。

「いらっしゃい」
カウンターの中に、年配の男性が現れる。
この店のご主人のようだ。
話すと、なんとも言えない味がある。
ブリの照り焼き(650円)を頼む。
お客さんも増えてきた。
高い所においてあるテレビでは、相撲。
隣に座った男性の1人客は、取り組みにいちいち反応している。
大衆酒場には相撲。

だんだん、にぎやかになってきた。
ご主人は、入ってくる客にシラス天(600円)を勧めている。
こちらもいただこう。
日本酒に合う。
勿論ビールでも美味いだろうが。

結局燗酒は3本呑んだ。
なかなか良い気持ちだが、もう1軒行きたいのでお勘定にしよう。
計3520円。

さて、もう一軒。
「鹿島屋」。
昭和通りを行き、東映の先右手。
立派な店構え。
少し気構える。
中に入ると、新しくキレイだ。
左手先の、こじんまりとしたカウンターに座る。
カウンターの向こうは、人が入れるスペースのみ。
調理場は別にある。
右手の壁の上には、壁掛けの液晶テレビ。
これは偏見なのだが、居酒屋に液晶テレビは似合わないと思う。
テレビはあってもいいが、ブラウン管が良い。
燗酒1.5合(580円)を頼む。
つまみはカツオアラ煮(450円)と、黒はんぺん焼き(450円)。
値段は案外安い。

左手奥は板の間。
掘りごたつ式。
にぎわっている。
しかし、どうも落ち着かないなあ。
このカウンターが原因かな。
「居酒屋膝栗毛」の記述とは、だいぶイメージが違う。
すでに酔っ払っているので、燗酒をちびちびやる。
一合半のはずだが、結構飲みでが有る。
一本空けたら、もう満足。
帰りのことも有るし、ここらでお勘定。
計1780円。

好みから言うと「多可能」である。
しかし条件も違うし、一回ずつの訪問では決められないかもしれない。
また来る機会が有るとしたら、逆のコースでも試してみたい。


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