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孤高の傑作 「ストリート・オブ・ファイヤー」 [映画]

2011年10月10日

 上大岡で「ストリート・オブ・ファイヤー」を観る。

 監督 ウォルター・ヒル。
 主演 マイケル・パレ。
 1984年の作品。
 前年に、マイケル・ジャクソンのミュージック・ヴィデオ「今夜はビート・イット」がヒット。
 そのノリで映画を一本作っちゃいました、てな感じの新感覚アクションムービー。
 ただ新感覚なのは話のテンポであって、物語そのものは、どのつく王道路線である。
 (以下ネタばれ)
 舞台は、リッチモンドという架空の街。
 エレン・エイムという女性ロック・シンガーが、故郷の街で凱旋コンサートを行っている。
 そこへ現れたのが、ボンバーズというストリートギャングみたいな集団。
 首領のレイヴェンというのがエレンにご執心で、衆人環視の中、さらっていってしまう。
 居合わせた女性が、トム・コーディーと言う男に助けを求める電報を打つ。
 彼女はリーバ・コーディーといって、下町で大衆食堂を営んでいる。
 トムは彼女の弟なのだ。
 このトムの登場シーンが良い。
 車でも、バイクでも、馬でもなく、電車に乗ってやってくるのである。
 リーバとちょっとすれ違い的に店に入り、くつろぐトム。
 そこへ、なぜかタイミング良く、ボンバーズの連中が店にやってくる。
 なんだかんだと嫌がらせをする奴らを、コーディーはあっという間にのしてしまう。
 再開を喜ぶ二人。
 リーバは、エレンがボンバーズにさらわれたことを伝える。
 しかしトムは、何故かかかわるのには乗り気じゃない様子。
 実はトムとエレンは昔付き合っていて、まあ色々あって別れたという過去があるのだ。
 で、そういう事情が有るからこそ、リーバはトムを呼んだ訳だ。
 しかし、彼女が思うようには事は進まない。
 トムと言うのはタフだが、内面はやけにナイーブな若者のようである。
 その後、酒場でマッコイという元女兵士との出会いがあり、結局金のためだと口実をつけエレンを救出することになる。
 そこで絡んでくるのが、エレンのマネージャーのビリー・フィッシュ。
 リック・モラニスが、徹頭徹尾いやみな奴を大熱演。それを通しきって最後は感動すら覚えてしまうぐらい。
 トムとマッコイ、それにビリーがチームを組み、見事エレンの奪還に成功。
 面目丸つぶれのレイヴェンは、トムへの復讐を誓うのだった。
 なぜかここでエレンへの執着は影を潜め、トムへの対抗心が心の全てを支配してしまうあたりが、この男の性格をよく表している。
 演ずるは、ウィレム・デフォー。
 ちょっと抑え目な演技が、かえって怖い。
 色々有って、最後はトムとレイヴェンの男をかけた対決が待っている。
 ここも、なかなか怖い。
 威嚇のためだろうけど、大勢のボンバーズの連中が銃器で武装して後ろで控えている。
 それに驚いた街の住民達が、どうしたかと言うと、みんな家から銃を持って集まってくるのである。
 しかも警察官立会いのもと。
 日本じゃあ考えられないよね。
 もっともアメリカだって、めったに無いだろうけど。
 この辺は、完全に西部劇のノリである。
 ウォルター・ヒルは「ロング・ライダーズ」なんてのも作っているぐらいで、こういうのはお手の物。
 音楽も「ロング・ライダーズ」と同じ、ライ・クーダー。
 しかしエレンの歌う曲なんて、ライがかかわったにしては違和感があるなあ。
 シンセ主体で、ドラムには大げさなエコーがかかっている。
 まさに時代の音で、今聴くと、やたら古臭く感じる。
 まあスターになりたい女と、それでがっぽり儲けたいマネージャーのチョイスだから、これで良いのかもしれないけど。
 なんて斜に構えた書き方をしたけど、映画としては本当に楽しめた。
 公開当時も友人達と「ついに新しい流れがやってきた」なんて興奮して話したもんだ。
 ただ結局、後に続く動きは無かったなあ。
 そういう意味でも貴重な映画だ。
  
 映画を観た後、横浜へ行き、勢いでライ・クーダーの新譜を買う。
 
 


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