満天に星は満ちて 「星守る犬」 [映画]
2011年6月22日(水)
横須賀で「星守る犬」を観る。
北海道の山の中で、正体不明の白骨死体が発見される。
そのそばには犬の死体。
それは何もかも失った初老の男が、愛犬と出かけた当ての無い旅の結末だった。
車の下から出てきた領収書を手がかりに、一人の市の職員が亡くなった男のことを調べる旅に出る。
その職員は幼い頃から肉親を亡くし、本の世界に逃げ込むような、ちょっと自閉症気味の青年。
最初に行った東京で、一人の少女と道ずれになる。
きゃぴきゃぴ騒ぐ少女に青年は辟易とし、何とか追い払おうとする。
しかし彼女もまた、彼女なりに悩みを抱えていることを知り、一緒に旅を続けることにする。
領収書を元に、東京から北海道まで、男の足跡をたどる旅。
映画は若い男女の旅と、犬を連れた初老の男の旅を、交互に描いていく。
ロケ地のほとんどが、震災の被害にあった場所と重なっている。
いわき市の浜辺で犬と男、そして行きずりの少年が戯れるシーンなど、見ていてなんとも切ない気分になる。
映画を撮っている時は、まさかロケ地のほとんどが、とんでもないことになるとは、思ってもいなかっただろうな。
話が進むほどに、初老の男の孤独と悲しさがクローズアップされてくる。
男の足跡を追い続けた青年は「最後に彼は幸せな時間をすごした」とまとめる。
しかし実際には、そのように描かれていない。
まあ幸福な人生なんて、はたからはかれるもんじゃあないけど。
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