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夢一夜 「アメリカン・グラフティー」 [映画]

2011年12月6日(火)

 鴨居で「アメリカン・グラフィティー」を観る。

 製作 フランシス・フォード・コッポラ
 監督 ジョージ・ルーカス
 主演 リチャード・ドレイファス
 アメリカでの公開は1973年。
 日本では974年12月に公開されている。

 舞台は、1962年のアメリカの田舎町(カリフォルニアのどこか)。
 4人の若者達が繰り広げる夏の一夜を描いた、青春映画の傑作だ。

 リチャード・ドレイファス演じるカート・ヘンダーソンは高校を卒業し、明日には東部の大学へ旅立つ。
 町の期待を背負い、奨学金をもらっての進学だが、何かその心には割り切れないものが渦巻いている。
 友人のスティーヴ・ボレンダーも、やはり東部の大学へ行く。
 こちらは、やる気満々である。小さな田舎町を抜け出すことが、うれしくてしょうがない。
 スティーヴは、カートの妹ローリーと付き合っている。
 しかし彼女にもこれからしばらくは、お互い好き勝手にしようなんて言い出す始末。
 大学へ行けば楽しいことが目白押しで、それを思う存分満喫したいと思っているわけだ。
 だが、ローリーは納得がいかない。
 だいたいこの恋自体、ローリーがしかけたものなのだ。
 スティーヴにしてみりゃあ、かわいいけれど重い女なんだろうなあ。
 スティーヴは大学に行っている間、年下の友人テリー・フィールズに自分の車を貸すことにする。
 ヴェスパしか持っていないテリーは、大喜び。
 私はよくわからないが、よっぽど良い車みたい。
 気分よく町を流しているうちに、ちゃらいねーちゃんをハントする。
 彼らには年上の仲間ジョン・ミルナーというのもいて、どうやら町のスピード・キングらしい。
 こちらは
自慢のカスタムカーに乗っている。
 昔はもてもてだったようだが、今は女の子に声をかけても、今一つパッとしない。
 やっと成功したかと思ったら、乗り込んできたのは・・・・・・
  
 一方カートは、車で見かけただけの女に恋をする。
 そんなこんなで、どたばたな夜が更けていく。
 

 ちなみに公開時には観ていない。
 当時、私は17歳の高校生で、登場人物たちと同じ年頃。
 さほど年をとったわけでもない大人が、昔を懐かしむってえスタンスに抵抗があったような気がする。
 甘ったるいオールディーズには、斜に構えるところもあったし。
 でも「ブルース・ブラザーズ」にはどかんとはまったわけだから、人間、どこでどうなるかは判らない。
 あらためて観てみれば、これはノスタルジー映画の体裁では有るが、全編に新しい物を作ろうという気持ちがみなぎっているのが判る。
 監督も出演者もみな無名の若者達。
 この作品、当初、映画会社のお偉方には大不評だったとの事。
 まあ、そうだろうなあと思う。
 私も最初の頃は、なんか訳のわからない映画だなあ、と思っていたのだから。
 それが大ヒットし、その後の映画の流れに大きな影響を与えるようになったのは、ルーカスの才能も有るが、コッポラも偉かったのではないかと思う。
 ラストに登場人物のその後が示されるというのも、この映画が初めではないか。
 カートが後に作家になったなんてのは、すっかり忘れていた。
 なるほど、幻の女に恋をするような奴だからなあ。
 他の3人については、きわめて現実的なオチがついていて、だからこそこの一夜が夢のように輝くのだ。
 それでもこの時点では、若い3人に未来はまだ夢のように開けている。
 しかしジョン・ミルナーだけが、すでに盛りを過ぎていることを自覚しているのが興味深い。
 女に関してはパッとしないし、スピード・レースもそろそろやばいのではないかと思っている。
 それでも戦えば勝つのだが、そのようなことに倦んできたガンマンのような哀愁が漂っている。
 ラジオから流れるビーチ・ボーイズを嫌い「バディー・ホリーの死んでロックンロールは終わった」というセリフを吐くのも、自分の時代が去りつつあるのを感じている証拠だ。
 やがてアメリカはベトナム戦争に突入し、イギリスからはビートルズが現れ、世界を席巻するようになる。
 「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の1955年がナンバー1としてのアメリカの時代だったとしたら、この映画は終わり予感を描いていたわけだ。 


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