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三丁目の地下酒場 新宿「鼎」 [東京]

9月14日(日)

ずっと蒸し暑く、汗が止まらない。
新宿駅近くの人混みが、暑さをいや増す。
今日は、十五夜のはず。

月は丸いが、湿気にくもって赤く見える。
新宿三丁目。
飲み屋街だが、人通りはあまり多くない。
日曜日の8時過ぎだ。
「末広亭」の前を通り過ぎ、少し行った左手の地下に「鼎(かなえ)
」はある。
以前から場所は知っていたが、入るのは初めて。
階段を降り、古い扉を開ける。
すぐに、テーブル席。
左手を見ると、奥に長い店内。
右手が、カウンター席。
手前に座る。
分厚いカウンターが、頼もしい。
全体的に木を多用し、年代を経た、渋い雰囲気だ。
カウンターの向こうの品書きには、つまみや日本酒はある。
が、ビールが見当たらない。
「生ビールあります?」と訊いてしまう。
「中ですか」
「ええ」
良かった。考えてみれば、ビールの無い店などなかなか有るもんじゃあない。
お絞りで顔を拭き、首の後ろを拭く。
なかなか汗が止まらない。
最近とみに、汗っかきになった。
太ってきたせいか。
ビールを呑んで、やっと落ち着いた。

さて、つまみは何にしよう。
しめ鯖が1300円か、高いな。
他のつまみも、みんな高め。
今呑んでるビールは、630円だ。
そういう店だったか。
普段、野毛とか横須賀あたりで飲んでいるので、油断していたぜ。
じんわりと、脂汗がにじみ出てきた。
630円であせってちゃ、いけないな。
居酒屋には、違いないんだから。
結局、アラ大根(945円)にした。

ビールの後は、酒。
どうもこの店、日本酒に力が入っているようだ。
天の戸か田酒か迷って、田酒(正一合840円)にした。
青森の酒だ。
昔、地酒に凝っていた頃、よく飲んだ。
もっとも、その頃は酒屋で買って、自宅で飲んでいたのだが。
片口で出された田酒は、結構量があるように見える。
コクがあり美味い。

美味いが、やはり値段が値段。
今日はこの辺で、終わりにしよう。

計2940円

十五夜に 地下の酒場で あぶらあせ


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今を生きる 十条「斉藤酒場」 新宿「イーグル」 [東京]

2007年10月16日(火)

池袋の芸術劇場で、芝居を観る。
SETの「昭和クエスト」。

ゲームばかりやっていて、現実との接点を見失った少年達。
彼等を矯正する為に、教育用のゲームが作られた。
それが「昭和クエスト」。
貧しかったが、夢に溢れていた昭和。
それをバーチャル体験することで、苦労の大切さを理解させると言うコンセプト。
「三丁目の夕日」辺りから 始まった昭和ブームに、あやかったような企画。

「三丁目の夕日」の舞台は、昭和33年。
こちらは、昭和41年。
ビートルズの来日した年だ。
これは、三宅裕司の思い入れによるものだろう。
劇中たっぷり、ビートルズや昭和の和製ポップスが使われる。
私は当時、小学生。
ビートルズより、昭和歌謡が懐かしい。

またこの年は、ウルトラマンの年。
私も大好きだった。
ちなみに、怪獣映画もまだ元気。
ゴジラの息子はまだ登場しておらず、ガメラはバルゴンと戦っている。
この「ガメラ対バルゴン」は、怪獣映画史に残る傑作だが、それはまた別の話。

他にも、アニメやCMなどのテレビネタは、ふんだんに使われている。
テレビは、カラーになった。
洗濯機、冷蔵庫、電気炊飯器は普及。
正直、もはや貧しい時代ではない。
ポップスからロック。
映画からテレビ。
一つの文化のターニングポイントではあったかもしれない。

昭和と言っても、色々有る。
芝居の方は、いたずらに過去にこもるのも、やはり現実逃避ではないかと言うことになる。
そういうことだ。
往々にして、過去と言うものは美化されやすい。
もっとも過去の無い現在と言うのは、ありえない。
未来もまた然り。
みんな、つながっているのだ。


今回もSETの芝居は、楽しかった。
力の限り、ミュージカル・アクション・コメディーを続けていく宣言も、嬉しかった。
SETと同時代に生きる幸せを、感じる。

芝居の後は、酒。
すぐ近くの「ふくろ」をのぞくが、一杯の様子。
埼京線に乗って、十条へ。
向かうは勿論「斉藤酒場」。
大衆酒場は、昭和の香り。
もっとも人は、過去にタイムスリップしたくて、来るわけじゃない。
ただ気楽に、一杯やりたいだけなのだ。
そりゃあ昔からやってることにも価値はあるが、今なお普通に愛されていることの方が大事だ。
入り口近くのカウンターに座る。
ここのカウンターは、自然木のでこぼこを残している。
したがって、ちょっと座りにくい。
その辺は、人のほうが合わせる。

まずは、瓶ビール(470円)。
出てきたのは、サッポロ黒ラベルの大瓶。
お通しは、厚揚げの煮物(だったと思う)。
つまみは、串カツ(2本 200円)。

私の隣では、年配の3人組。
地元の常連さんらしく、すっかりご機嫌だ。
1人に2人で、交互につっこんでいる。
れも延々と。
まあつっこまれる方も、笑いながら延々と相手をしている。
そういう役割分担なんだろう。
SETでも常に三宅裕司がつっこんで、小倉久寛がぼけている。
三宅裕司はボケもやるので、大忙しだが。

つまみに、ポテトサラダ(200円)を追加。
ここは、何人かのおばちゃんたちが店内をまわっている。
ただ、注文がすっと通るとは限らない。
下向いたままボソッとつぶやいたぐらいじゃ、まずだめ。
こつさえ掴めば、どうってことないのだが。
また、自分の注文したものは、しっかり覚えておかなくてはならない。
今も「肉豆腐のかた」と言いながら、店内を練り歩いている。
しかし、誰も手を挙げない。
私がもらおうかと思ったが、止めといた。
話に夢中になって、頼んだこと忘れているって可能性もある。
後で「俺の肉豆腐どうなった」なんてこともあるかもしれない。

ビールの後は、にごり酒(180円)。
つまみに、肉豆腐(300円)。
結局、あらためて頼んでしまった。
甘酸っぱい濁り酒は、案外何でも合う。
にごりは、もう一杯呑む。
つまみに、カレーコロッケ(200円)。
不思議な組み合わせだが、これでもOK。
これが清酒だと、違和感が有るに違いない。

しかし、すっかり飲み食いしちゃった。
値段が安いのもある。
しかし、雰囲気もあるか。
賑わってはいるが、全体的に和やかだ。
たまにふらっと入っても、リラックスできる。
とはいえ、もうおなか一杯。
ここらで、お勘定してもらおう。
伝票持って、奥のレジへ。
計 1,730円。

店を出た後は、埼京線に乗って新宿へ。
中央線に乗り換えて、中野あたりへ行こうかな。
しかしホームに滑り込んだ電車は、超満員。
考えてみれば、まだ6時台。
通勤ラッシュの時間だ。
考えが甘かった。
ここで外に出よう。

ふらふらと歩き、アルタ裏の「イーグル」へ。
長い階段を降りていく。
途中ガラスの自動ドアが、すっと開く。
知ってるから良いが、初めての人は驚くのではないか。
案内され、長いカウンターの真ん中辺りに座る。
きっちりとした雰囲気に、ちょと緊張。
自分のラフな格好が、気になる。
なにせ、ジーンズにカジュアルな上着を、はおっているだけ。
私以外の客は、みんなスーツ姿だ。

ここは「斉藤酒場」とは別の意味で、昭和である。
とりあえず、角のハイボール(300円)を頼む。
300円の物頼んでも、バーテンダーの対応は実にプロフェッショナル。
「斉藤酒場」の自然木に対して、こちらはどっしりとした積み石。
何事にも、きっちりしている。
しかし、しんねりむっつりしているわけではない。
どちらかと言うと、愛想の良いほう。
さりげなく、話し相手にもなってくれる。
雰囲気につられて、シングルモルトでも頼んじゃおう。
と言っても、マッカランの12年(500円)だけど。
ストレートでもらう。

いつもなら、何かつまみを取るところ。
しかし、さっき食べ過ぎたのか、腹が減らない。
このまま酒だけ呑んじゃえ。
危ないパターンだなあ。
マッカランの後は、山崎12年(850円)。
こちらも、ストレートで。
ここはサントリーの店なので、サントリーの酒を。
味の傾向としては、マッカランと似ているかな。
しかし、酔っているので自信がない。

ちなみに山崎も、シングルモルト。
昔はモルトなんて言葉、聞いたこと無かったな。
ブレンデットウィスキーが、当たり前。
トリスやレッドから始めて、ホワイト、角、オールドと上がっていく。
更に格好をつけるなら、スコッチだ。
ホワイトホースとか、ジョニ黒とか。
社会人になった時嬉しくて、結構買ったっけ。
物によっちゃあ、一万円近くしたと思う。
流行り物はともかく、一流品と言われるものの価値は、そう変わるものではないと思っていた。
価値と値段は、違うのかもしれないが。

地下深くにあり、大きな石がでんと構えていても、時は流れていくのだ。
時が流れるからこそ、ウィスキーは熟成する。
カクテルは鮮度が命だろうが、その技術は時とともに洗練されてきた。
時は流れ去るだけではなく、積み重なっていくものでもあるようだ。
何を言ってるんだ、私は。
あまりここで時を流すと、意識も流れそうだ。
適当な所で、お勘定。
サービス料が10%入って、計1925円。

今度は、ネクタイでも締めて来てみたいと思う。

前回訪問記事 「斉藤酒場」2006年10月25日 「イーグル」2005年10月26日

続く。


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風通し 池袋「ふくろ」 [東京]

2007年10月15日(月)

池袋の新文芸座で、映画を観る。
現在、「魅惑のシネクラシックス」という特集をやっている。
今日は、「マルクス兄弟珍サーカス」と「マルクスの2挺拳銃」の2本立て。
1300円で、2本観ることが出来る。
昔はこの手の名画座、一杯あったな。
後、2番館3番館ってのもあった。
新作がロードショー館で上映された後、2本立て3本立てでかけられる。
値段も安かった。
ちなみに新文芸座では、「ロッキー・ザ・ファイナル」と「ダイ・ハード4.0」の2本立てなんてのもやっている。

客の入りは、4割りぐらい。
この間の「オペラハット」に比べると、空いている。
ゆったりと、中央付近に座れる。
やはりゲーリー・クーパーに比べたら、分が悪いか。

まずは「マルクス兄弟珍サーカス」。
観るのは、2度目。
スクリーンでは、初めて。
相変わらず楽しい。
若いカップルの歌。
グルーチョの歌。
チコのピアノ。
ハーポのハープ。
でも一番は、ハーポと黒人の子供達のジャズ。
ミュージカルが好きな人間には、マルクスブラザーズの映画は、はずせない。

次は「マルクスの二挺拳銃」。西部劇だ。
映画としては、こっちの方が良く出来てるかな。
見どころは、終盤の蒸気機関車のシーン。
疾走する列車と言うのは、実に映画向きだ。

映画の後は、酒。
またも「ふくろ」へ。
入り口の引き戸は、開けっ放しになっている。
入ってすぐのところが空いていた。
ラッキー。
座ってみると、先日とは反対側のようだ。
ホッピー(380円)を頼む。
厳密には、一合瓶入りの焼酎が190円。
瓶のホッピーが190円である。
でもホッピーと言えば焼酎、ホッピー、それに氷の入ったジョッキが出てくる。
焼酎もホッピーも、カウンターの中のラックから出され、
常温である。
追加の氷は、カウンターの所々にアイスペールに入って置いてある。

お通しは、ザーサイ。
つまみに、モツ煮込み豆腐(450円)。
この間は、ホッピーに 洋風のつまみが合う、てな感じになったが、今日は和風で。
でも和風ではあっても、和食じゃないかもしれない。
江戸時代には、モツ煮込み豆腐、無かったんじゃあないかな。
そんなこと言い出したら、キリがないか。

カウンターで呑み食いするなんてのも、うんと昔はなかったんじゃあないかな。
だいたい、カウンターって言葉自体が、横文字だし。
寿司屋や居酒屋でおなじみなのに、日本語ではなんていうのか判らない。
考えてみると、不思議だ。
テーブルってのも、そう。
テーブルの日本語は食卓だろう。
が、あまり飲食店では使われない。
ただ椅子ってのは、どこでも椅子。
チェアなんて言わない。
椅子はテーブルよりも、日本人に生活に溶け込んでいたと言うことか。
でもテーブルと椅子では、何かすわりが悪い。
対になるものが、あるはずだ。
となると、机だろう。
机に椅子なら、すわりが良い。
まず職場や学校で、机と椅子が普及した。
しかし飲食は、畳の部屋でとることが多かった、と言うことなのだろう。
私自身自宅では、テーブルで食事をしているが、考えてみればそれは最近の事だ。
昔は、ちゃぶ台やコタツで食事をするのが、当たり前だったと思う。
まあ、家にもよるだろうが。

ホッピーを、お代わり。
つまみに、イカ天婦羅(400円)。
これは、完璧に和食だな。
あれ、でも天婦羅の語源って、外来語だっけ。
ポルトガル語とか、スペイン語とか。

私の背中には、入ってきた引き戸がある。
入った時には、開けっ放し。
一度閉められ、また開けられた。
ここは、出入り口が2箇所ある。
両方開けてあると、カウンター席に沿って一直線に風が通る。
寒いと感じる人もいる。
しかし、今日は気候が良い。
外の空気が入る方を好む人のほうが、多いようだ。
だいたい酔ってくると、体温が上がるし。
私自身は、ちょっと厚着をしてきたので、外の空気が入るほうが気持良い。
風を防ぐ。
風を通す。
少しだけ、風を通す。
こういう時、引き戸ってのは便利だ。
開け具合によって、融通が利く。

計1810円

前回訪問記事 10月9日


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盛況 池袋「ふくろ」 [東京]

10月9日(火)

池袋の「新文芸座」に、映画を観に行く。
観たのは「オペラハット」。
監督 フランク・キャプラ
主演 ゲーリー・クーパー
1936年の作品。

主人公は、田舎町に暮らす青年。
友人と工場を経営する傍ら、詩人としても成功している。
詩人と言っても、クリスマスカードに書いてある文章などを考える人のようだ。
街の楽団では、チューバを担当。

そこへ突然巨額の遺産が舞い込み、一路ニューヨークへ。
金目当ての人間や、スクープを狙う女性記者などが絡み、てんやわんやの大騒動。

平日の昼間なのに、館内はかなりの混み方。
少しでも空いてる所を探してたら、前の端になっちゃった。
正直観づらいんだけど、それがまた味がある。
昔の名画座じゃあ、立見なんてざらだったものね。

映画の後は、酒。
時間が早いので、「ふくろ」に行こう。
なにせ、朝からやってる。
ええと「ふくろ」って、どの辺だったけ。
久しく、行ってないものなあ。
適当に歩いてたら、そのうち見つかるだろう。
あれ、全然それ風の所に出ないぞ。
一回、駅前に戻ろう。
地図を、見る。
わっ、反対側だ。
とんだ、おのぼりさんである。

すったもんだの挙句、何とか「ふくろ」に到着。
店に入ると、カウンターはギッチリ。
反対側まで歩いて、やっと座ることが出来た。
飲み物は、ホッピー(380円)。
氷のたっぷり入った、ジョッキ。
焼酎の入った、緑色の一合瓶。
それに、良く冷えたホッピーが出てくる。
焼酎を半分注ぎ、ホッピーをどぼどぼ。
こちらも、半分ほど余る。
カー、美味い。
お通しは、玉こんにゃくが3つ。
つまみに、ハムエッグ(350円)を頼む。
料理は別のところで作られ、料理用の小さなエレベーターでやってくる。
多量のキャベツが、添えられている。
何をかけるか迷う所だが、今回は醤油。
醤油やソースは、カウンターの上に置いてある。
酒のつまみとしてのハムエッグてのも、なかなか良いもんだ。
素朴で、モダンで、どこか懐かしい。

一杯呑み終わって、新しくジョッキに焼酎を注ぐ。
氷は、3分の1ぐらいになってしまった。
カウンターのあちこちに、氷の入ったアイスペールが置いてある。
氷の欲しい人間は、自分でそこからとる仕組み。
でも、氷はいいや。
まだ、焼酎もホッピーも冷たいし。

ハムエッグの後は、トマト(350円)。
なんだか今日は、こじゃれたものばかり頼んでいる。

ホッピーを、お代わり。
アジフライ(400円)も、頼む。
こちらはソースで。

ハムエッグ、トマト、アジフライと並べてみると、大衆食堂のおかずみたいだ。
さっきは、こじゃれたものなんて言っていたけど。
ホッピーにゃあ、この手のものが、合うんだなあ。
和洋折衷って言うのか。
メンチやポテサラ
なんてのも、そうだよね。

計2060円


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東京喜劇に大衆酒場 熱海五郎一座「狼少女TOH」 大井町「大山酒場」 [東京]

5月23日(水)

今日は休み。
東京に、熱海五郎一座の芝居「狼少女TOH」を観に行く。
場所は、天王洲アイルの天王洲銀河劇場。
横須賀からだと、まず京急で横浜へ。
京浜東北線に乗り換え、大井町。
そこから、りんかい線に乗り換え、天王洲アイル駅と言う経路になる。

名サイト「居酒屋礼賛」によると良い居酒屋や、焼き鳥屋が有るようだ。
大井町は、普段縁が無い。
この機会に降りて、街を歩いてみよう。
西口から、外に出る。
駅の周りは、でかいビルばかり。
目指しているのは、「東小路」という飲み屋が密集している場所。
しかし、なかなか見つからない。
駅から近いようなので、ろくに調べもしないで来てしまった。
結局、駅の周囲をぐるりと一周してしまう。
更に同じところを少し歩いて、やっと見つかった。
何のことは無い。
東口から出れば、すぐ近くだ。
線路沿いに入口があり、大井町銀座商店街と平行している、
東口だから東小路って事かな。
お目当ての大衆酒場「大山」の看板もある。
良かった、これで安心である。

芝居は、午後2時開場。
2時30分開演。
マチネーって奴だ。
そうい言われちゃあ、しょうがない。
今は、昼の12時30分。
どこかで、昼飯を食べていこう。
大井町は食肉市場が近いため、肉物の充実地帯らしい。
と言うことで、大井町銀座商店街の「丸八とんかつ店」に入る。
「丸八」は人気店のようで、混んでいる。
しかし、時間的に入れ替えのタイミング。
すっと、カウンター席に着くことが出来た。
カウンターは、白木で高級感が漂う。
とはいえ店全体としては、さほど気取っているわけではない。
ヒレカツ定食(1700円)を頼む。
他にも、上ロース定食(1400円)や、並カツ定食(確か1000円未満)などがある。
めったに来る場所じゃないので、一番高いもの頼んじゃった。
昼も後半に入ってきたので、日本酒を呑んでいる人や、ビールを呑んでいる人がいる。
私の左右は、2人とも呑んでいる。
一瞬心が動いたが、この後芝居がある。
酔っ払って、筋が判らなくなっちゃうと困る。
酒臭い匂いをまとわりつかせて、小ぎれいな劇場に入るのもはた迷惑かもしれないし。
匂いってのは、自分じゃあ気がつかないことが多い。

気がつかないと言えば、面白い客がいた。
若い男が店に入ってきて、カウンターに座る。
店を見渡し、段々怪訝そうな顔つきになる。
「あのー、ラーメンはどこにあるんですか?」
「うちは、ラーメンはやってないんですよ」
「あ、間違えました」
そういえば、隣はラーメン屋だった。
私も粗忽者なので、そのうちやるかもしれないが。
もしかしたら、実際にやってるかもしれないなあ。
酔っ払って喫茶店に入り、ラーメン注文してたりして。
で、結局そこでラーメン出してもらったりして。
で、「ご馳走さまあ」なんて言って、最後までラーメン屋に入ったつもりになってたりして。
うーん、ウルトラ・アリエールだ。

とりあえず、今日は間違いなくヒレカツ定食を食べる。
ごろりとした、中々ごついヒレカツだ。
あ、これは見た目の事で、中身は柔らかい。
店を出、まだ時間があるので、再度街を探索。
やはり東小路の辺りに、心引かれる。
狭い路地に飲み屋やラーメン屋などがぎっしり詰まっていて、中々の迫力である。
でもまわりは、大きなビルばかり。
いつかは、再開発されてしまうのだろうか。

時間になり、りんかい線で天王洲アイルへ。
「銀河劇場」のあるビルはモノレールの駅からだとすぐだが、りんかい線の駅からだと少し歩く。
と言っても、たいしたこと無いが。
私同様芝居を観に来たらしい人たちが、道端の地図を見ている。
少しずつ、人の流れが出来てきた。
これに乗っていけば、良いだろう。
これで全然違ったところに入ってしまい、最後まで気がつかなかったら面白いのだが、さすがにそんなことは無い。
無事「銀河劇場」あるビルにたどり着いた。

ビルの中に入って、何か見覚えのあるのに気がついた。
その時も、芝居を観に来たんだっけ。
確か「スモーキー・ジョーズ・カフェ」と言うブロードウェイ・ミュージカルだった。
リーバー&ストーラーの曲を全面的にちりばめたミュージカル・ショー。
リーバー&ストーラーと言うのは、1950年代から60年代をを中心に活躍したソングライターのコンビ。
コースターズやドリフターズ、そしてエルビス・プレスリーなどに曲を提供した。
プレスリーの「ハウンド・ドッグ」やベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」などは、かなりの人が知っているのではないか。
家に帰ってプログラムを見てみると、「スモーキー・ジョーズ・カフェ」の公演は1998年の事。
もう10年近く前だ。
当時の劇場の名前は「銀河劇場」ではなく、「アートスフィア」。
まだ、りんかい線は無く、モノレールに乗って行ったっけ。

このあたりの音楽は、実にしぶとい
映画で言えば「ブルース・ブラザーズ」「天使にラブソングを」。
21世紀になっても、「ドリームガールズ」なんてのが作られた。
伝えたい人がいて、受け取る人がいる。

話が暴走したが、今日観るのは「熱海五郎一座」。
座長は三宅裕司。
熱海五郎と言う人はいない。
元々は「伊東四郎一座」として旗揚げされたが、伊東四郎が抜け「熱海五郎一座」となった。
名前の由来は、伊東の次だから熱海。
四郎に一歩及ばないので五郎、ということらしい。
コンセプトは、東京喜劇伝承である。
メンバーは三宅裕司、小倉久寛、白土直子、丸山優子、宮内大、その他のSET勢。
渡辺正行、ラサール石井、春風亭昇太、東貴博、南原清隆等テレビ界の人気者。
タイトルの狼少女には、G-ROCKETSから関根あすかという布陣。
この人については良く知らないが映画「阿修羅城の瞳」やミュージカルの舞台などに出ているらしい。
演出は、三宅裕司。
SETの土台に人気タレントが乗っている、といった趣。

話は、東南アジアのジャングルで見つかった狼少女を巡り、ライバル同士のテレビ局が視聴率合戦を繰り広げるというもの。
狼少女と言っても、月夜の晩に狼に変身する訳ではない。
狼に育てられた、野性の女の子である。
SETなら、全世界を巻き込んだ陰謀渦巻く話になるところ。
だが、こちらはテレビ界のやらせと、捏造程度にスケールを絞っている。
あまり風呂敷を広げず、勝手知ったる世界で、のびのびやろうということだろう。
みんな忙しいスケジュールの合間を縫っての参加だろうから、緻密な稽古などは出来ないに違いない。
その分は個々の芸でカバー、と言った感じか。
何故そんなことを考えたかというと、メンバーによって出来にばらつきがあったからだ。
三宅裕司、小倉久寛を始めとするSET勢は、もうばっちり。
テンポ良く、笑わせてくれる。

違和感が有ったのは、渡辺正行とナンチャン。
渡辺正行には緊張感が無く、ナンチャンは硬かった。
マチネー(昼間の公演)だったので、ノリが悪かったのかも。
良かったのは、ラサール石井。
自然で、無理に笑わせようとしないところが良い。
普段自分で演出もしているので、舞台を観る目がしっかりしているのかな。
春風亭昇太とアズマックスも、持ち味を発揮していた。
春風亭昇太は、椅子に座って足をぶらぶらさせているだけで、笑いを取ってたりして、中々あなどれない。
別に、あなどっていたわけじゃないけど。

ナンチャンは、今回が初参加。
ラサール石井やアズマックスは、「伊東四郎一座」の旗揚げからの参加。
その辺の、馴染み具合なのかな。
もっとも、渡辺正行も「伊東四郎一座」からの参加。
これが、この人の持ち味なのかもしれない。

狼少女役の関根あすかは、凄い。
アクロバティックな体技が得意らしく、バリバリアクションをこなしている。
大変な身体能力だ。
その代わり、台詞は「トー」しかないのだが。

「伊東四郎一座」から数えても、まだ四作目。
これからも続けて、SETと違った喜劇を追及していってもらいたい。
出来たら、伊東四郎さんにも復帰してもらって。


芝居の跳ねた後、りんかい線に乗って大井町へ戻る。
時間は、5時10分過ぎ。
ちょうど良い。
場所を確認してあった「大山」に行こう。
店は東小路の入口にあり、わかりやすい。
しかし入口が、細い路地を少し入ったところにある。
手前にも入口らしきものがあるのだが、そちらは使っていないようだ。
年期の入った扉を開け、中に入る。
すぐ、細長いカウンター。
奥に先客がいるので、入口近くに座る。
椅子は、木の丸椅子。
太い鉄の棒で、床に固定されている。
座る部分は、良い具合に尻ずれしている。
見れば右手奥にも、もう一組同じようなカウンター。
そちらにも、先客が1人。
その奥には、大型テレビ。
相撲をやっている。
勿論相撲をやっているのはテレビの中であって、お客さんではない。
当たり前か。

カウンターの中には、年期の入ったおばちゃんたちが何人も。
白い割烹着のような物を、着ている。
お客さんの差し入れのお菓子を、みんなで分け、テレビの相撲で賑わう。
気さくな大衆酒場だ。
とりあえず、瓶ビール(キリン一番絞り大瓶 560円)を頼む。
他にビールは、スーパードライもある。
つまみは、そら豆(350円)。
コップが常温のため、ビールの冷えが今一だが、それもまた風情である。
ハムエッグ(420円)も頼む。
「半熟で?」と訊かれたので「半熟で」と答える。
刻んだキャベツに乗って出てきた。
醤油をかけていただく。
普段ハムエッグって
食べないのだが、こういうところで食べると良いなあ。

ビールの後は、梅サワー。
値段を忘れてしまったが、確か安かったはずだ。
300円ぐらいだったかな。
ちなみに、ホッピーは無い。
更に、ゴーヤチャンプルー(600円)も頼む。
豚肉のケチャップ炒めにも惹かれたが、昼飯が豚カツだった。
多少は、健康の事も考えよう。
梅の淡い甘さと、ゴーヤのほろ苦さが大人の味わい、なんちゃって。
なんちゃっては、古いか。
そういえば、なんちゃっておじさんなんてのもいたな。

段々混んできた。
グループ客は、2階へ案内されている。
まあ混んできたと言っても、ぎゅうぎゅう詰めにはならない。
テレビのあるほうのカウンターから、埋まっていくということもある。
のんびり呑むには、この方が良いなあ。

梅サワーを、もう一杯呑む。
梅味と言うのはとんがった所がなくて、だらだらするにはちょうど良い。
だがこの段階で、結構酔っ払ってしまう。
最近、酒に酔うのが早くなった。
まあ、いくら呑んでも酔わなくなった、なんてのよりは良いか。
名残惜しいが、とりあえず
ここは出よう。
他の店も、のぞいてみたいし。
計2530円。

少し歩いて焼き鳥屋にでも入ろうと思ったのだが、どうもまだその気になれない。
腹も酔いも、満足しちゃっている。
他の店にも興味はあるが、体が求めていないようだ。
こうなりゃ京浜東北線に乗って、横浜まで行こう。
電車に乗っている間に、少し落ち着くだろう。

次回に続く。


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中年男の濃い一日 十条「斉藤酒場」 [東京]

10月25日(水)

まず、ダイエーで「16ブロック」。
ブルース・ウィリス主演の刑事アクション。
しかし、ブルースも老けた。
見方によっては中年男と言うより、老人に近い。
腹もタプタプだ。
ところがそのよれよれ男が、突如として鋭い動きをする。
格好良い。
同じ中年男として、感情移入できる。
主人公が足を痛めていると言う設定も、身に沁みる。
実は私も先日の丹沢歩きで、足がバリバリの筋肉痛なのだ。
平らな所を歩いているだけで、ずっこけそうになる。
とても鋭い動きなど、出来そうもない。
まことに情けない。

ちなみにブルースは1955年生まれ。
私より2歳年上だが、ほぼ同世代である。
私も周りから見ると、よれよれに見えるんだろうなあ。
実際、よれよれなんだが。

映画の後、ハンバーガーで昼食。
ハーボイルドな気分で、ビッグトリプルにする。
胃にもたれる。

京急から山手線へと乗り継ぎ、池袋へ。
SETの本公演「ナンバダ ワールド ダンシング」を観るのだ。
場所は東京芸術劇場。
池袋へ来るのは一年ぶりなので、出口を間違える。
なんてこった、足が痛いってのに。

肝心のSET。
今回は、ヒップホップダンサーを目指す、日本の若者の話。
ヒップホップをやりながらも、どうしても日本人特有の動きがでてしまうと悩む彼等。
手と足が一緒に出てしまう「ナンバ」の動きだ。
この辺、ちょっと無理がある。
ともかく、ヒップホップを極めるにはそのルーツを探らなくてはと、仲間とニューヨークへ行く。
ところが、以外にもヒップホップのルーツは、ジャマイカにあった。
レゲエからカリプソ、ルンバやサンバとたどってゆき、行き着いた先はアフリカ。
うーむ、懐かしい展開だ。
1980年代に洋楽を聞いていた人間には、心当たりがあるのではないか。

私もそうだった。
映画「ブルーブラザーズ」でブルースやソウルにはまり、やがてレゲエやカリプソ、ハイチの音楽等へと手を伸ばしていった。
行き着く先は、やはりアフリカ。
といったって、レコードを聴いていただけだけど。

当時アイランドが力を入れていたこともあって、キング・サニー・アデなどがずいぶんもてはやされていた。
ワールドミュージックって呼び方があったな。
日本でのピークは1985年。
代々木体育館でのキング・サニー・アデのライブ。
私も行った。
わー、なんだかすげーなーって感じだった。
だが、身にしっくりこなかったのも確か。
その後ワールドミュージックは、潮が引くように後退していく。
勿論それぞれの国では日常の音楽として聴かれ、日々進化もしてきたはずだ。
後退したのは「ワールドミュージック」という言葉である。

私はといえば、ワールドミュージックの後退とともに、アメリカ南部の音楽に興味を持つようになる。
テキサスとかニューオリンズとかの音楽だ。
テキサスからはダグ・ザーム。
ニューオリンズからはネヴィル・ブラザーズが来日。
今まで見たライブの中でも、1,2を争う良さだった。

ルーツミュージックなんて言葉も、あったように思う。
この場合は、アメリカのルーツ音楽だ。
カントリーとかブルースとかソウルとかに根ざした音楽。
ギンギラギンの80年代についていけなくなった人達が、飛びついたのではないか。
とはいえ、ダグ・サームにはメキシコ音楽。
ネヴィル・ブラザーズには、カリブ音楽の影響がある。
ある意味、ワールドミュージックからも入りやすい音楽だ。
もっともそれらはミュージシャンの実験精神から生まれたというより、テキサスなりニューオリンズなりの地理的なものが大きいようだ。
異国の音楽が、自然にその土地に根付いている。
だからこそ頭でっかちにならず、足腰からリズムが湧いてくるのではないか。

で、芝居に戻る。
ヒップホップの真髄を求め、アフリカまで行った主人公達。
しかしそこで彼等が気がついたもの。
それは、日本人である自らのルーツを大切にすべし、と言うことだった。
最後は、ヒップホップと和楽器のコラボレーションによる、ダンス大会。
今回は、プロのダンサーも大勢出演。
実に華やかなステージになった。
音楽は、サザンの野沢秀行。
脚本は、座付き作家の大沢直行。

音楽(特に黒人音楽)をめぐる壮大な物語。
参考文献のトップに、中村とうようの「大衆音楽の真実」が挙げられている。
なるほど。
だが正直、芝居としては硬い気もした。
風呂敷を広げすぎと言うか。
視点が、少し高いのではないか。

舞台を、おんぼろアパートあたりに限定したらどうだろう。
そこには、世界各国から日本に来た人達が住んでいる。
中には不法就労者もいる。
だが、実は世界の音楽の宝庫でもあった。
その狭くて広い世界の中で、ヒップホップダンサーを目指す主人公の若者が悩み成長していく。
なんてのはどうだ。
ワクワクするじゃないか。

まあ勝手なことを言うだけなら、簡単である。
実際に形にして、ステージに乗せるのが大変なのだ。
それを、何十年も続けている。
大変なことだ。
なんだかんだ良いながらSETの舞台を観ると感動するのは、そこにミュージカル・コメディーと言うものに対する愛情があるからだ。
借り物ではなく、しっかりとした自分達のものになったミュージカル・コメディー。
SETと同時代に生きられることを、喜びたい。

ただ、オグちゃんも年を取った。
もうバク転もできないようだ。
カーテンコールで、リクエストが出ても、コルセットを見せて断っていた。
三宅裕司からは「お客さんにパンツ見せてどうするんだ」って、つっこまれてたたけど。
オグチャン(小倉久寛)は、1954年生まれ。
ブルースよりも年上だ。
このあたりは濃い人が多い。
ちなみに、1956年生まれには桑田佳祐がいる。

芝居の後は酒。
池袋なら「ふくろ」もいいのだが、やはり「斉藤酒場」に行きたい。
埼京線に乗って2つ。
十条で下りる。
駅から下りて右手すぐ。
足が痛いので、駅から近いのが嬉しい。
一年ぶりだ。

店は、相変わらず混んでいる。
奥のテーブル席に案内される。
ここのテーブルは自然木の形を生かした、独特のもの。
殆どがテーブル席。
カウンターもあるが反対側にも座れるので、カウンター風テーブル席とでも言うべきものだ。

瓶ビール(サッポロ黒ラベル大瓶 470円)を頼む。
お通しは何だったかな。
セロリかなにか。
東京の古い大衆酒場には、サッポロビールが良く似合う。
大瓶ならば、更に良い。
私の周りにでているのは、全て黒ラベル。
しかし他のテーブルにはサッポロラガー(通称赤星)がでていたりする。
こちらも美しい。

ビールも外国から来た文化。
しかし、生活にしっかりと根付いている。
もはや日本人にとって、郷愁を感じる存在にすらなった。
蒸し暑い気候。
冷蔵庫の普及等の要因もあろう。
美味いビールを作る為に努力した人たち。
日本に普及させる為に頑張った人達の力もあろう。
ともかく大勢の人が愛してきた。
多様な外国のビールに比べて、個性が少ないといわれる日本のビール。
しかし、日本の食べ物に一番合うのも確かだ。
厳密には、北海道ではサッポロビール。
沖縄で呑むならば、オリオンビールが美味い。
その土地の気候風土や食べ物に、合っているんだろう。
てことは、恵比寿でエビスビールてのも美味いかもしれない。
今度試してみよう。
そういえば、浅草のアサヒビールの本社ビルの近くにあるビアホールにも、色々地ビールがあったなあ。
定番のビールがいつでも手軽に呑めて、その気になれば色々なビールも呑めるというのが、一番いいか。

今日の芝居がらみで言えば、日本人が外国の音楽をやるのも、外国生まれの音楽が日本に根付くにも、その音楽に対する愛情が一番なのではないか。
やる側にとっても、聴く側にとっても。
逆にそれがあれば、自然な形で根付くのだ。
ビールのように。

つまみに、しめ鯖(300円)。
このようなものにも、国産ビールならOK。
国産ビールにあわない日本の食べ物(但し酒のつまみ系)てのは、ちょっと考えられない。
しめ鯖の後は、カレーコロッケ(2ケ 200円)。
勿論ばっちりである。

カレーとコロッケ。
どちらも外国生まれだが、これまた日本人に愛されてきた。
もしかしたら、ビール以上かもしれない。
アメリカやヨーロッパに、果たしてカレーコロッケはあるのだろうか。
恐らく、日本独自の物なのではないか。
家庭で食べてよし。
酒場でつまんでよし。

さて、ビールも無くなった。
次は、チューハイ(250円)にしよう。
チューハイとは、焼酎ハイボール。
要するに炭酸割りだ。
ここにも、西洋と日本の融合がある。
それも、たいそうなものではなく、きわめて庶民的であるのが良い。

つまみには、肉豆腐(300円)。
江戸時代より前の人たちは、殆ど獣の肉を口にすることは無かっただろう。
それが、極めて和風な豆腐と組み合わせれている。
大衆酒場のつまみですら、一事が万事この調子。
他国の文化を消化吸収する人々の力は、それはたくましいものなのだ。

もうここらで次に移ってもいいのだが、どうにも去りがたい。
もうちょっと呑もう。
樽酒(230円)にイカの塩辛(200円)。
最後は、和風に決めてみた。
ああ、良い気持ちである。

ここはこれで〆るとして、さあどうする。
せっかくここまで出てきたのだから、バーにでも行こうかな。
でもどこにしよう。
何かもう満足しちゃった気もするなあ。
とりあえず、CDでも買うか。
それから考えよう。
マイナーなCDも、今ではインターネットで手に入る。
しかし昔は、わざわざ東京まで足を運んだんだよなあ。

ちなみに、酔っ払って合計金額は失念。
どちらにしても、たいした金額ではない。

埼京線で渋谷へ行く。
電車は混んでおらず、すぐ座れる。
ハチ公前のスクランブル交差点は、相変わらずの人ごみ。
外国人(白人)が、その様子をケータイのカメラで撮っている。
人ごみが珍しいのかな。
交差点を渡り、センター街へ。
ギンギラギンである。
同じ東京でも、十条とはだいぶ違う。
学生の頃から知っているが、もはや私の歩く場所ではないような気もする。
奥に進むにつれて、道が少しずつ狭くなっていく。
足を引きずりながら、酔いどれ1人街を行く。
時間的にはまだ早いので、やばい様子はないが。
突き当りを右へ。
少し行ったビルの階段を下りる。
そこにあるのがサムズ・レコードショップ。
黒人音楽の専門店だ。
ブルースやソウル系に強い。

さて、何を買おうかなあ。
ここの所、昔買ったCDを引っ張り出して聴いているので、買いたい物も幾つかあるのだ。
CDをパタパタやっていると、なんだか楽しい。
もっとも昔LPをパタパタやっていた時の方が、もっと楽しかったが。
果たして、CDで音楽を聴くという行為もいつまで残ることか。

おや、スウィンギン・バッパーズの新譜が出てる。
なんとブルース&ソウル・レコーズも、スウィンギン・バッパーズの特集だ。
日本人による、黒人音楽の吸収と言う今日の芝居のテーマにも、リンクする。
あわせて購入する。

さあこうなると、もうバーはいいや。
山手線で品川まで行く。
こちらもすいている。
座っていく。
でも京急は、そうは行かないだろう。
ウィング号の券を買う。
通常の料金プラス200円で、座って帰れるのだ。
しかも品川から上大岡までは、ノンストップ。
三浦半島に住む人間にとっては、画期的な電車だ。
まだ座ることにはさほど拘らなくても良いが、満員電車はどうにも苦手なのである。
昔横浜に勤めていた頃は、ラッシュ嫌さに一時間早く起きて、各駅で通っていたぐらいだ。
もっとも、いやおう無しに満員電車に乗らなくてはならない人達にとっては、何を言ってるんだという話だろうが。

ゆったりと座り、ブルース&ソウル・レコーズを読む。
とても面白い。
スィンギン・バッパーズのリーダーは、吾妻光良。
私はこの人の文章が、昔から好きだったのだ。
特にブラック・ミュージック・リヴューに書いていた頃は、夢中で読んでいた。
その当時、ずいぶん大人のような気がしていたが、今回読んだ所によると1956年生まれ。
私と1つしか違わない。
私が20代だった頃は、吾妻さんも20代だったのだ。
ううむ。
感慨深いものがある。

この調子で書いていくと、本当にキリがない。
今日はこの辺で。

しかし、相変わらずペース配分がなってないな。

前回訪問記事 2005年10月26日


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歴史と新世紀 町田「柿島屋」 [東京]

3月23日(木)

町田の「まちえい」に映画を観に行く。
岡本喜八監督の「侍」。
主演は三船敏郎。
画面は白黒。
話も予想以上に、地味な映画であった。
客も、かなりの年配者が多い。

映画の後は、酒。
当然、桜肉の「柿島屋」。
店へ行く途中、交番の手前辺りで、メイドカフェの呼び込み。
衣装は白黒。
先程までの世界とは、凄いギャップだ。
でも、どちらもコスプレであることに、変わりは無いか。

敷居が高そうな「柿島屋」の入口も、2度目だと平気で入れる。
すたすたと歩き、店の奥、壁の前に座る。
前回来た時と、ちょうど対角線上の反対側になる。
ここから店内を見渡すと、また違った感じだ。
グループ客もいるが、ほとんどが高齢の1人客。
もっとも「まちえい」よりは、雰囲気が若いような気がする。
なんたって、馬肉の店だからなあ。

歴史の有る店だが、店舗は新しい。
広くキレイだ。
高い場所には、壁掛けの大型テレビ。
今日は相撲。
時代劇とメイドカフェが並存する街に、相応しい。

酒はホッピー(473)。
つまみはメンチ(420円)と、おしんこ(210円)を頼む。
ホッピーを頼んだ時、「ええと・・・」と言われたので、すかさず「白で」と答える。
「ええと・・・」だけで全てを察するなんざ、慣れたもんである。
もっとも、本当は全然違うことを、言いたかったりして。
「ええと、お客さんチャックが開いてますよ」とか。
さりげなくチャックを見るが、大丈夫である。
良かった。

ホッピーとおしんこは、すぐ出てくる。
フラスコのような瓶に入った焼酎を、ホッピーのジョッキに注ぐ。
更にそこへ、ホッピーをドクドク。
注ぎ終わってぴたりと収まる、この快感。
ああ楽しい。
手作業の楽しさだ。
もっとも手作業としては、この程度がいい。
おしんこを頼んだら、糠床と野菜が出てきたりしても困る。
あ、でも自分のキープ糠床なんてあったら、それはそれで楽しいかも。
漬物酒場。
しょっちゅう来なきゃいけないな。

メンチが揚がってくる。
珍しい馬肉のメンチだ。
ソースを掛けて早速いただく。
感想は、やっぱり普通のメンチのほうが美味いなって感じ。
どうも味が淡白だ。
もっとも、その分ヘルシーな感じはするが。

さて、次は何を頼もうかな。
よし、もっと強い味付けになっているだろうチョリソー(473円)にしよう。
勿論、馬肉のチョリソーだ。
酒はそれに負けないように、焼酎の梅割り(263円)にする。
「一杯分?二杯分?」と訊かれたので、反射的に「二杯分」と答えてしまう。
実に意地汚い。
まだ混雑していないので、いつでもお代わりは出来るのだ。

出てきたのは、梅割り用の分厚いグラス。
ホッピーの時と同じ、フラスコのような容器に入った焼酎二杯分。
それにワンカップのような容器に入った、梅シロップ。
焼酎は冷えていたが、グラスは常温。
梅シロップは、どうだったかな。
グラスに焼酎を入れる。
梅シロップを入れる余裕をもって入れると、フラスコの中には一杯分以上残る。
梅シロップを注ぐ。
やはり手作業が楽しい。
受け皿は無いので、こぼさないようにしなくちゃね。

チョリソーは、見た目普通と変わらない。
中身はやはり、少し淡白かな。
ただ、味つけが濃いので、梅割には合う。

結局前回を含め、馬肉は刺身が一番いいようだ。
食べてないが、恐らく鍋もいけると思う。

しかし梅割り2杯は、なかなかに効いた。
さあ、そろそろ帰ろう。
テーブルの脇の伝票を持ち、お勘定。
計2102円。

前回訪問記録 3月3日。


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馬刺しにホッピー 町田「柿島屋」 [東京]

3月3日(木)

町田の映画館「まちえい」に映画を観に行く。
岡本喜八監督の「暗黒街の対決」及び「暗黒街の顔役」。
岡本監督の、初期の作品。
初めて観たが、面白かった。
この映画館も初めて来た。
古い映画館だ。
この間までは「市川雷蔵特集」をやっていた。
今回が「まちえいクラシック第2弾」だそうだ。
これからも、こういう特集をやっていくらしい。
近くにシネコンがオープンすることも有り、対抗策なのだろう。
渋谷には新しい名画坐が出来たようだし、新しい展開かもしれない。

映画の後は酒。
ザーザー降りだした雨の中、町田の街を行く。
馬肉の「柿島屋」。
町田では有名な店のようだ。
創業は1884(明治17)年。
うわーっ、19世紀じゃないか。
シャーロック・ホームズより古いぜ。
今の場所には1994年に移転。
駅から3分。
長崎屋など在る辺りの路地の裏。
大きなマンションの、1階だ。

初めて訪れる。
こりゃまた、思いっきり敷居の高そうな店だ。
ホッピーが有るという事前情報が無ければ、足を踏み込む気にはなれない。
エントランスにはデパートなどに有る、傘袋マシーン。
濡れた傘をガチャンと突っ込み、いざ店内へ。

広々としている。
いくつもの木の長テーブルが、並んでいる。
キレイで洒落ている。
カウンターは無し。
迎えてくれた男性に「1人です」と伝えると、「この辺に」と案内してくれる。
椅子も木の長椅子だ。

テーブルの上には、ガスコンロ。
桜鍋が売り物だ。
先ほどの男性が、メニューを持って注文をとりに来る。
60代ぐらい。
この人が店主かな。
鍋を薦められるが、軽く呑むつもりなので馬肉刺し(720円)にする。
それに枝豆、エシャレット、モロキュウの盛り合わせ(368円)。
飲み物はホッピー。
白か黒か聞かれたので、白にする。
氷を入れるかどうかなんてことは、聞かれない。
こりゃ期待できるぞ。

注文は、その場で携帯の機械に打ち込む。
ファミレスなどで使われている、あれだ。
うーん、新時代だなあ。
多少興ざめだが、店が広いので仕方ないか。

出てきたのは、ホッピーのジョッキ、フラスコのようなガラスの容器に入った焼酎。
それに勿論、瓶入りのホッピー。
全て冷えている。
ジョッキに焼酎を入れると、2つ目の星の少し上。
そこへホッピーを注ぐと、ギリギリでぴたりと収まる。
久々のピッタリホッピーだ。
酔いたいのなら横須賀ホッピーだが、味としてはこれぐらいが呑みやすい。

枝豆つまみながらホッピーをやっていと、馬刺しも出てきた。
赤身でクセが無い。
薬味は生姜にした。
ニンニクも考えたが、生姜で正解だったかな。
肉の味を味わえる。
まあこの辺は、お好みだ。
上刺しもあって、こちらは1000円以上する。
そのうち挑戦してみよう。

店内を見渡す。
4時過ぎに店に入った時は客もまばらだったが、その後どんどん入ってくる。
でも店が広いので、まだまだ余裕たっぷりだ。
店の奥、上方には壁掛けの大きな薄型テレビ。
新時代である。
でもやっているのは、水戸黄門。
この辺が面白い。
ブレードランナーみたいだ。

その奥には座敷。
座敷で宴会なんてのも、良いなあ。

4時台なので、客は中高年の男性が多い。
グループ客も、1人客もいる。
仕事が早く終わったのか、スーツ姿の2人組みもいる。

改めて見ると、入口近くに荷物を置く棚が有る。
小さな物ならテーブルの下に入れられるが、大きいものを置くには良い。

ホッピーのお代わりと、馬肉ぬた(420円)を頼む。
新しい焼酎と、ホッピーを持ってくる。
ジョッキは、今まで飲んでいたのを使用。
持って来る時に「ホッピーは良いねえ」とおやじさん。
「肉には合うし」と私。
「すぐ酔えるし」
「わはは」
見てると、あちこちに気を配って歩いている。
現代的なようでいて、この辺はさすが老舗だ。

馬肉ぬたの肉は、刺身ではなく茹でて有る。
多少ばさばさした感じだが、だからこそ酢味噌であえて有るのだろう。
これもまたホッピーに合う。

他にも、メンチだのソーセージだの魅力的なつまみが有るのだが、何せここは町田。
今日は、この辺にしておこう。

「まちえい」がらみで、これからも来そうだし。
さて、お勘定。
計2454円。



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地底のロストワールド2 銀座「三原」 [東京]

1月17日(水)

1丁目から銀座通りを歩いた。
映画の帰り。
あまり寒くは無い。
華やかな気分になる。

4丁目の交差点で左折し、三原橋地下へ。
がらりと世界が変わる。
入ったのは
季節料理「三原」。
場末の居酒屋。
本当に、すぐそこが4丁目の交差点とは思えない。
半端な時間なので、他に客はいない。
少し歩いたので、チュウハイのようなものでも呑みたいが、店内に飲み物の表示が無い。
「なんにします」
おかみさんに聞かれ少し躊躇する。
「お食事ですか」
「いえ、酒」
「冷で?それとも燗?」
「えーと、燗で」
食事ではなく酒を飲むのだ、といったつもりが、成り行きで燗酒になってしまった。
言葉というものは難しい。

おかみさんは菊正宗の一升瓶から一合徳利に酒を注ぎ、湯煎にかける。
つまみはうなぎの生肝焼き(600円)。
「燗はどれくらい」
「ぬる燗で」
「はい」
出てきた徳利はかなり熱い。
まあこっちのぬる燗というのは、早く出してくれと言うほどの意味なので、別に文句は無い。
お通しでちびちびやる。
お通しは魚にマヨネーズを添えたもの。
大ざっぱな表現で申し訳ない。
カウンターの奥にはこの店のカウンターを描いた切絵。
いつ見ても不思議な気分になる。
マリリン・モンローの写真が飾ってあるのも不思議だ。

テレビではドラマ。
よく見るとヴィデオのよう。
竹之内豊が出ている。
相手役はチェ・ジウだったっけ。
なかなかに美男美女だ。

今日観た映画のこと等考える。
「風とともに去りぬ」
ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル。
こちらも古典的な美男美女。
デジタルリマスターしてあることもあって、絵として美しい。
話は今一だったけど。
似たような話なら「或る夜の出来事」の方が好み。
比較の対象がおかしいか。

うなぎの肝焼きが出来てくる。
燗酒お代わり。
おかみさんの手が空いた所で訊ねる。
「去年来た時に、茶色の手袋忘れなかったですか」
「ああ、手袋ね」
テレビの下の引き出しからすぐ出てくる。
これだこれだ。
やっぱりここだったか。
さすが客商売。
「お客さんに、なんか言わなきゃと思ってたのよ、ごめんなさいね」
「いえいえ、こちらこそ預かってもらってすみません」
一月近く前の飛び込みの客のことなど、良く覚えていたものだ。

燗酒お代わり。
ぬか漬け(500円)も頼む。
ついテレビのドラマに見入ってしまう。
杉浦直樹が出ている。
この人も長いなあ。
昔の映画じゃ、殺し屋の役なんかやっていた。
良い人よりは、悪役やる方が魅力的だ。
一度、松本幸四郎との舞台を観に行ったことが有る。
こちらは松本幸四郎の方が悪い役で、似合ってなかったなあ。
確か渋谷のPARCO劇場だった。
最近、渋谷にはトンとご無沙汰だ。

燗酒を、お代わり。
更に、カキバター焼き(600円)も頼む。
映画もいいが、たまには芝居も観たいなあ。
かなり昔、おいらにとって銀座に来ると言えば博品館劇場だった。
オンシアター自由劇場が好きで、良く観に行ったものだ。
「もっと泣いてよ、フラッパー」「上海バンスキング」「ドタ靴はいた青空ブギー」など。
後に自由劇場は渋谷のシアターコクーンに拠点を移し、やがて解散する。
やはり、懐かしいのは博品館劇場だ。
思えばあの頃は若かった。
古い酒場で飲んでいると、人は回顧的になる。
さて、そろそろ現代に戻ろう。

お勘定。
計3900円。

前訪問記録 12月27日


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地底のロストワールド 銀座「三原」 [東京]

2005年12月27日(火)

映画を観に行く。
「シネスイッチ銀座」で「ニュー・シネマ・パラダイス」。

まず、映画の前に腹ごしらえ。
「酒のほそ道」にも取り上げられていた「三原橋地下街」に行く。
浅草線東銀座駅の出口からすぐ。
晴海通りをはさんで双子の建物が有り、その裏から入る。
どちらからでも入れるが、今回は居酒屋「傳八」のあるほうからアプローチ。
入ってすぐ左手にあるのが、季節料理「三原」。
その先も串かつの店や、薩摩料理の店、アダルトショップ、食堂、床屋などが並ぶ。
全体的に、銀座とは思えないうらぶれた雰囲気が漂っている。
ちなみに、右手は映画館「シネパトス」。
端まで歩き、結局戻って最初の「三原」に入る。
床屋の横も「三原」だがそちらは食堂風。
季節料理「三原」は、年期の入った場末の居酒屋風だ。
木の引き戸を開け、店に入る。
先客は無し。
カウンターの中には、中年の女性が1人。
カウンターも、年期が入っている。
肉豆腐定食(750円)を頼む。
ぱっぱと食べ終え、店を出てから一思案。
どうも、量的に物足りないような気がする。
まだ、映画の開始には時間がある。
昼飯のはしごになるが、もう一軒行くか。
串カツの店「牛かつ」は前回入っているので「一柳」にする。
「三原」に比べると、少し高級な感じ。
夜は居酒屋だが、昼は温かい蕎麦がメインのようだ。
店内も明るい色調で、小ざっぱりしている。
カウンターの上には、店の名前の入った焼酎のボトル。
かけそば(400円)を頼む。
ずるずるかっ込み店を出ると、おなか一杯。
しまった。
今度は食いすぎだ。
若い頃の自分の胃袋が記憶にあり、つい食べ過ぎてしまう。

まあいいや。
まだ時間が有るし、腹ごなしに銀ブラだ。
ぶらぶらと歩き」、泰明小学校近くの居酒屋「佃喜知」の場所など確認する。
太田和彦氏の本で見当はつけてきたが、こりゃまた路地裏だなあ。
この辺も、いい感じ。
やはり「酒のほそ道」でも取り上げられていた。
今調べたら、15巻に載っている。

さて、そろそろ時間だ、映画館に行こう。
「シネスイッチ銀座」は銀座4丁目交差点、和光の裏通りにある。
懐かしいなあ。
ここは昔「銀座文化」だった所。
その頃は名画座で、ヒッチコックやミュージカルの特集などやっていた。
ヒッチコックなんて、立ち見で観たな。
今は完全入れ替え制の所が多いから、そんな光景も無いだろう。
今日の入りは、7割ぐらいか。
肝心の「ニュー・シネマ・パラダイス」。
映像がとてもきれい。
終戦直後から話は始まるので、街にも戦火の後など残っていたりする。
身なりも粗末だ。
しかし、映画の映像として美しいのだ。
さすがイタリア。
話に関しては、正直ぴんと来ない。
どうもあの、ほろ苦い感じが苦手だ。
昔を扱った映画なら「三丁目の夕日」や「シンデレラマン」の方が好み。
比較の対象が、おかしいかな。
何年かしてまた観たら、印象が変わっているかもしれない。

映画の後は酒。
三原橋地下街に戻る。
午後の3時40分なので、ほとんどの店が準備中。
やっているのは、昼に入った「三原」と食堂の「三原」。
酒を飲むので、昼に入った居酒屋の「三原」へ。
今度は、カウンターの正面へ座る。
やはり客はいない。
先ほどの女性が「また食事?」と聞く。
「いや酒ください、燗酒で」と答える。
カウンターの奥では、テレビが点いている。
お通しはカボチャ。
奥に下がっているボードには、手書きで海鮮系のメニューが。
だいたい500円から600円だ。
いかのポポ焼き(600円)を頼む。
テレビでは、バラエティーをやっている。
突然、女性がチャンネルを変える。
以降この女性をおかみさんと書く。
テレビは、NHKのニュースだ。
「お客さん、映画観てきたの?」と、おかみさん。
「ええ」
「やっぱり、3丁目?」
「いや4丁目、和光の裏」
「え?」
どうも話がちぐはぐだ。
どうやら3丁目とは、映画の「三丁目の夕日」のことらしい。
そういえば、ここの前の「シネパトス」でやっているんだっけ。
大変な人気なのだそうだ。
連休の最中など1時間並んでも、立ち見だったとか。
映画の立ち見、ここには残っていたか。
さすが、昭和の香りを色濃く残す「三原橋地下街」だ。
「三丁目」はリピーターも多く、1人で5回も6回も見る人がいるらしい。
東京の都心が舞台だから、この辺の人にとっては、懐かしさもひとしおだろう。
カウンターの奥には、この店の中の様子を描いた絵がかかっている。
絵の中でも、ちょうど今私が座っているあたりに、男性客が1人いて妙な気分だ。
角度も、私が絵を眺めている角度とほぼ同じ。
少し後ろから見た感じ。
奇妙な味の短編小説にありそうだ。
聞けば、この絵は切り紙で、お客さんの作ったものとのこと。
店内は他にも、色々なものが張ってある。
マリリン・モンローの写真がいくつか有り、気になる。
最初は無愛想だなと思ったおかみさんも、話してみると実に話題が豊富だ。
三原橋地下街の昔の様子なども、教えてもらう。
戦後、初めて出来た地下街だそうだ。
テレビは、いつの間にか「プロジェクトⅩ」になっている。
おかみさんは、この番組が大好きなのだそうだ。
そういえば、この番組あたりが「三丁目の夕日」がヒットする気分の一つになっているかもしれないなあ、などと考えたりする。
時折引き戸が、がたがたゆれる。
地下街を通る風か、はたまた近くを通る地下鉄の振動か。

結局お銚子3本に、ぽぽ焼き。
滞在時間1時間弱でお勘定。
計2,000円。

電車が混む前に引き上げよう。


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