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天使の行方 THE J GEILS BAND 「FREEZE-FRAME」 [ROCKでいこう]

2012年1月7日(金)

 J・ガイルズ・バンドは、1967年にボストンで結成された。
 メンバーはJ・ガイルズ(ギター)、ピーター・ウルフ(ヴォーカル)、マジック・ディック(ハープ)、セス・ジャスマン(キーボード)、ダニエル・クレイン(ベース)、スティーヴン・ブラッド(ドラムス)の6人。
 1970年に「THE j GEILS BAND」(邦題「デビュー」)で、アトランティックからレコード・デビュー。
 ブルースを基調にしたロックンロール・バンドで、アメリカではライブを中心に人気者となっていく。
 バンドにその名を冠しているJ・ガイルズのギターが、特に凄いわけではない。
 全員一丸となったノリで、突き進むタイプ。
 中ではピーター・ウルフの格好良いボーカルと、マジック・ディックの豪快なハープが目立つ。
 ライブが好評を博する中、しかし、レコードの評価は今一つ。
 心機一転EMIに移籍すると、徐々にその音楽性をモダンなものに変化させていく。
 1981年のアルバム「フリーズ・フレイム」からシングルカットされた「CENTERFOLD」(邦題「堕ちた天使」)が大ヒット。一躍、日本でも人気者となった。
 私が彼らのことを知ったのも、この頃である。
 EMIの3枚を買い、アトランティックの後期のアルバムを何枚か買った。
 さらにヒット後の初アルバム「ショータイム」を買う。
 当時アメリカのロック・バンドとしては、J・ガイルズ・バンドが一番好きだった。
 映画「ブルース・ブラザーズ」に衝撃を受けた人間としては、当然である。
 ブルース・バンドとして出発し、メンバーチェンジ無しで未来へと突き進んでいく姿には、若者の夢を託せるものがあったと思う。
 大ヒットした後出した「ショータイム」がライブ・アルバムってのも、足元は見失っていないよという表明みたいだったし。
 しかし、私はまだ知らなかったのである。
 このバンドがライブ・アルバムを出した時は、転機であることを。
 一枚目のライブ・アルバム「フルハウス」を出した後から少しずつポップ路線に舵を切り始め、2枚目のライブ・アルバム「狼から一撃」の後は一時的にバンド名を「ガイルズ」に変更し、その後レコード会社を移籍する。
 
 そして「ショータイム」の後は、なんとフロントマンのピーター・ウルフが、突如、バンドを脱退してしまうのである。
 その後、ピーター・ウルフはソロアルバムを出すが、どうも好きになれなかった。
 
 ピーター抜きのバンドもアルバムを出したようだが、こちらは聴いてもいない。
 このようにして、世間でも私の中でも、J・ガイルズ・バンドの物語は終わってしまった。
 聴いていないアルバムはたくさん有ったが、あまり積極的には手を出さなかった。
 やはりショックが尾を引いていたのだと思う。
 それでもCDで「デビュー」と「フル・ハウス」は買った。
 まあ、そのあたりぐらいは押さえておこう、という感じである。
 ところがこの年になってロック熱がよみがえってきた。
 タイミング良くタワーレコードから、アトランティックの初期のアルバムがごっそり出ていた。
 年末にはセール価格になったこともあり、結局、上記の2枚以外は全部買ってしまった。
 面白いことに昔買ったレコードと合わせると、オリジナル・アルバムが全てそろったことになる。
 タワーレコードがアトランティックのすべてのアルバムを復刻させたわけではないので、これは偶然である。
 で、ここの所、J・ガイルズ・バンドをまとめて聴いている。
 これが実に面白い。
 EMI移籍後顕著になったといわれるモダンなポップさも、初期のころから内包していたことがわかる。
 アメリカのストーンズなどと呼ばれることもあったようだが、ミック・ジャガーに比べると、ピーター・ウルフの声は陽性。
 無骨な中に、奇妙なユーモア感がある。
 
 このユーモア感というのは、なかなか貴重なのである。
 それが一番よく発揮しているのが、ヒット曲「堕ちた天使」だと思う。
 雑誌を見ていたら、学生時代憧れの女の子がヌードになっていたというお話。
 陽気な曲調で、今でもCMで使われている。
 いつもどれか一枚のアルバムを取り上げていて今回は迷ったが、やはり「堕ちた天使」の入った「フリーズ・フレイム」にしよう。
 これも今、期間限定で出ている。
 あらためて聴いてみて、懐かしさが止まらなかった。
 全編シンセがガンガンで、ファンには評判の良くないアルバムである。
 ピーター在籍時最後のスタジオ盤ということもあって、個人的にも複雑なのだが、こみあげてくる感情には、かなわない。
 それに実際、なかなか魅力的なアルバムなのだ。
 がやがやとガサツな弾けっぷりから、アトランティックの先輩、コースターズを思い浮かべた。
 あの路線を80年代に甦らせたら、こうなるのではないか。
 つくづくこの先の展開を観てみたかった(聴いてみたかった?)と思わせるバンドである。
 ピーター・ウルフはこつこつと活動を続けていて、一昨年もアルバムを出している。
 
気持ちの整理がつけば、そのうち手をだすかもしれない。


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