エスパーの受難 筒井康隆「七瀬ふたたび」 [SF]
2011年11月5(土)
筒井康隆「七瀬ふたたび」読了。
「家族八景」に続く、七瀬シリーズの第二弾。
何度か映像化されている人気作だ。
私も再読。
しかし、久しぶりだったので、内容はほとんど忘れていた。
主人公の火田七瀬は、人の心を読むことの出来る超能力者(テレパス)。
「家族八景」では、高校を出たばかりのお手伝いさんだった七瀬も今や二十歳。
より高収入を求めて、ホステスなどもする。
なぜか次々と他の超能力者と出会い、そのたびにドラマが生まれる。
孤独な存在だった超能力者同士が出会っても、良いことが起きるとは限らない。
七瀬の能力が能力だけに、特に男にとっては、たまったもんじゃあないわけだ。
それでも少しずつ行動をともにする人達が現れ、また七瀬自身にも自分達は何のためにこの世に存在するのかという疑問を持つようになる。
しかし、その思考と進めるよりも前に「敵」の攻撃が始まる。
どうなる、七瀬とその仲間達。というお話。
当時は平井和正の「ウルフガイ」を連想したが、今なら断然「ⅩーMEN」シリーズだな。
筒井康隆にしては珍しい、通俗的な骨格の物語。
だからこそ何度も映像化されているわけだが、小説としての魅力はそのかっちりとした文章だ。
らしくない物語ゆえに、かえって筒井康隆の文章が際立つ結果になった。
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