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「あれ」を裏返せ 恩田陸「エンド・ゲーム 常野物語」 [SF]

2011年10月30日(日)

 恩田陸「エンド・ゲーム 常野物語」読了。
 主人公の拝島時子は、女子大生。
 彼女には、世の中が常人と違って見える。
 普通の人々の中に、「あれ」が混じっているのが判るのだ。
 時子の母親の暎子も同じ体質の持ち主で、父親もそう。
 父親は時子が小学生の頃に失踪し、以来母と娘の二人暮らしだ。
 拝島一家は「あれ」が見えるだけではなく、「裏返す」ことが出来る。
 しかし「あれ」の方でも彼女達を裏返すことが出来るわけで、その戦いは普通の人々が知らないとところで、果てしなく続いている。
 どうだい、何のことだか判らないだろう。
 「光の帝国」「蒲公英草紙」に続く常野シリーズの第三弾だが、今までとはなんだか感じが違う。
 何重にも入り組んだ迷路の中をさまよっているようで、山田正紀の「神獣聖戦」の1エピソードにしてもおかしくないぐらい。
 後書きで作者が、物語の第三作目の難しさみたいなことを書いている。
 しかし、その高いハードルをクリアしたというよりは、別のフィールドに入っちゃったような気がする。
 精神世界での行動が延々と続くあたりは、私にとって、ちょっと苦手なパターンだ。
 まあ、このシリーズはまだまだ続くそうなので、次を楽しみに待つようにしよう。 


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