ツァちゃんの大冒険 山田正紀「神獣聖戦 Perfect Edition」 [SF]
10月11日(火)
山田正紀「神獣聖戦 Perfect Edition」読了。
牧村孝二は腕の良い庭師。
彼には特殊能力があり、物理的な手段によらず火星とかを訪れる事が出来るらしい。
それに目をつけたのが、S-企業グループの総裁、東田太平。
未来を握らんと、牧村孝二を囲い込む。
関口真理は、ケーキのデザイナー。
牧村孝二と出会うなり、恋に落ちる。
しかし二人は、人類の終末に立ち会うアダムとイブでもあるようだ。
彼と彼女は何度も生まれ変わり、色々な世界で出会い、恋人になる。
また、それぞれの世界の中で、関口真理の前に一匹の猫が現れる。
真理は彼に、ツァラトウストラと言う名前をつける。
彼は猫のように見えるが、実は猫ではない。
次元の違う時空間を行き来し、恐竜の群れや、巨大蜘蛛や、ジェット戦闘機とやりあっている。
弱点(?)は、宙返りが出来ないこと。
話を戻して、牧村孝二の脳からは航宙刺激ホルモン(FISH)が分泌され、やがて人類は、光速の壁を越え宇宙を自由に行き来できるようになる。
しかし、そのためにはM・M(鏡人=狂人)になり、背面世界に入る必要があった。
ところが、ここにデモノマニア(悪魔憑き)という存在があらわれ、M・Mと果てしない闘争を繰り広げるようになる。
デモノマニアは、M・Mと旧人類の中間ぐらいに位置している。
しかもM・Mの上位には「大いなる疲労の告知者」と言う存在がある。
一方、地球には「幻想生命体」が跋扈している。
藻の一種らしいのだが、人間の下意識の働きかけ、幻想を見せる。
で、まあ色々有って人類は絶滅してしまい、ツァラトウストラは宙返りが出来るようになる、というお話だ。
どうだい、何のことだか判らないだろう。
作者が昔書いた「神獣聖戦」という連作短編に大幅に加筆し、長編風に組み立てなおした物らしい。
私は以前の「神獣聖戦」を読んだことがないので、最初から長編小説を読むつもりで向き合った。
でもそういうことは、あんまり関係ないような気がする。
全部通して読んだからって、すっきりとその世界が理解できるわけではないのだ。
冒頭で要約したエピソード「渚の恋人」を頭に持ってきて、「ネコと蜘蛛のゲーム」の後に「交差点の恋人」を続けてけていれば、多少すっきりしただろうか。
意図的に読者を混乱させるような書き方をしているようだ。
しかし最後まで読み通すことが出来たのは、個々のエピソードにおけるイメージの力だ。
「Perfect Editin」と銘打っているにもかかわらず、この後「新・神獣聖戦」とか、「帰ってきた神獣聖戦」とか、「神獣聖戦・ファースト・ジェネレーション」とか出てきたら面白いんだがなあ。
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