アル中のガンマンは生き残れるか ギャビン・ライアル「深夜プラス1」 [本]
2011年5月18日(水)
ギャビン・ライアル「深夜プラス1」読了。
ハードボイルド~冒険小説と言うくくりの中じゃあ、間違いなくトップクラスの有名作品。
私の中では「ロンツーは終わらない」「男たちは北へ」と続くロードノベルという流れで読んでみた。
っていうか、「ロンツー」が出る前のタイミングで「深夜」と「男たち」の改版が書店に並んでいたのである。
これって、たまたまじゃあないよね。
まあ、それはそれとして「深夜プラス1」は面白かった。
以下ちょっとネタばれ。
主人公のルイス・ケインは、ビジネス・エージェント。
かつてのレジスタンス仲間で、今はパリで弁護士をしているアンリ・メルランの依頼を受け、ある実業家をフランスからリヒテンシュタインまで送り届けることになる。
やばい仕事のようで、ボディーガードとしてハーヴェイ・ロヴェルというアメリカ人もつけられる。
ロヴェルはヨーロッパでは3本の指に入るガンマン。
しかしやがて、アル中という問題を抱えていることがわかる。ボディーガードとしては、致命的である。
仕事のために今は酒をたっているとはいえ、果たして彼らの運命やいかに、というお話。
同じアル中でも「男たちは北へ」の主人公とは、だいぶ違う。
あちら(桐沢)は酒が切れると発作がおきるが、こちら(ロヴェル)は、しばらくなら我慢が出来る。
その代わり、飲み始めるとズブズブである。
自分の中の弱い部分が、アルコールと直結しているのだ。
普通はどこかで歯止めの利く部分が壊れちゃっている状態。
ちなみに桐沢はアルコールさえ切れなければご機嫌なタフガイで、食事時にビールを飲むぐらいでOKである。
アル中にも色々あるようだ。
実を言うと、再読のつもりでいた。
しかしあらためて読んでみて、前回は出だしの部分しか読んでいなかったことがわかった。
海岸で、実業家マガンハルト一行と落ち合うあたりまで。
全体的に作り物めいて悪夢の中をさまよっている感じが、肌に合わなかったのかもしれない。
今は芝居がかった台詞回しも楽しめる。
年とって、多少キャパが広くなったかな。
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