京急本線呑みある記その35 八丁畷「なのはな」 [京急本線呑みある記]
5月11日(月)
八丁畷と書いて、はっちょうなわてと読む。畷とはあぜ道の事。江戸時代に川崎宿から市場村まで田んぼ道がまっすぐ八丁(800メートル)ほど続いていたのに由来するらしい。
八丁畷駅には下りホームについた。快速で川崎まで行き、一つ戻ったのである。
改札を出て右へUターンするように回り込と、八丁畷商栄会と言うこじんまりとした商店街があった。居酒屋、焼き鳥屋、中華料理屋などが軒を連ねている。店の途切れたあたりで左に曲がると、ちょっとした公園がある。平日の午前中。公園にいるのは幼児を連れたお母さんと年寄りが数名。このあたりは普通の民家やアパートが並ぶが、ぐるりと見渡せば、マンションらしき建物が多い。川崎の脇のベッドタウンといった趣か。
商店街に戻りぶらぶらする。京浜急行とクロスするようにJR鶴見線が高架を走っている。そのガード下の商店は軒並みシャッターを閉め、真っ暗である。先ほどの商店街に戻り、さあ早めの昼飯にしよう。
「ハルピン」と言う渋い中華料理屋が目を引く。しかし眺めているうちにどんどん客が入っていく。みんな作業服を着ているので、近所で働いている人達のようだ。しかし今は11時30分。一般的には早いのではないか。それとも昼休みは交代で取るシステムなのだろうか。
私は呑むつもりなので、もうちょっとがらんとしたところが良い。細い路地へ入ると、お洒落な沖縄料理屋があった。もう入れるようだ。ここにしよう。
敷石を踏み、店に入る。入ってすぐ右手がカウンター。左手がテーブル席。
カウンター席に座ると、メニューが出てきた。ランチは基本的に沖縄そばがメイン。それにカツ丼やタコライスなどもある。ソーキそば(1200円)を頼んだ。ビールは、オリオンビール(600円)。
ビールを呑みながら、そばが出来るのを待つ。グラスは何故か赤い。BGMは沖縄ポップス。カウンターの高くなったところには、泡盛の甕が並んでいる。それぞれの甕には小さな蛇口がついているが、みんな客席の方を向いている。これ、どうやって使うんだろう。まさか客が自分で注ぐんじゃあないだろうな。ちなみにコーヒーやお茶などのソフトドリンクは、店の中央付近においてあり、セルフサービスである。
スーツを着たお客さんも入ってくる。まだ12時前なんだが、みんな出足が良いなあ。ビール呑んでいるのが、気が引ける。これが横須賀だと、あんまり気にならないんだけど。
川崎は昔から沖縄と縁が深いようだ。大正の初期、川崎に大きな紡績工場があり、沖縄からも多くの人達が働きに来たとのこと。鶴見には、沖縄ストリートなる所もあるらしい。
そうこうしているうちに、ソーキそばが出てきた。そばとはいえ、麺は細めのうどんのような感じ。その上に豚のアバラ肉の塊が2つ。一つは煮込んであり、一つは焼いてある。私は、焼いたやつは始めてだ。
店の女性が「紅しょうが、島とうがらし、七味をお好みで」と説明する。それらはカウンターの上に、置いてある。ただし、島とうがらしはとても辛いので、気をつけてもらいたいとのこと。まずは紅生姜を少々。それに島とうがらしをぱっとかけるつもりが、液体がドバッ。うわっ、とうがらしって言うから、なんとなく粉末状の物を想像していたぜ。考えてみれば、容器が壷のような格好をしている。油断していた。こうなると七味は止めとこう。
恐る恐るスープをすする。良かった、辛いことは辛いが許容範囲である。意識してビールも残してあったので、丁度良いかもしれない。さっさとビールを片付けて泡盛でも頼もうかと思ったが、止めといた方が良いだろう。まだ昼前だし、これから川崎で映画を観るのだ。
食べ終わったらセルフで水を呑み、お勘定。計1800円。
駅までは一分で着く。
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