京急本線呑みある記 その44 立会川「鳥勝」 [京急本線呑みある記]
2012年4月18日(水)
川崎の「中華成喜」で昼飯。
場所は「さいか屋」の向こう側をチネチッタ側に入り、左手の細い路地を入ったところ。
普通に歩いていたら、まず目につかない。
2人がけのテーブル席に案内され、焼きそばと焼き餃子を頼む。
11時50分の入店で8割の入り。12時過ぎたら、満員である。
グループ客は2階へ案内されている。
焼きそばが来るのは早かった。
少しして餃子。餃子味噌というのをつけて食べる。
焼きそばなど油っこいのだが、客の年齢層は高い。
上大岡の大衆中華「味楽」が、地元の常連客で一杯なのと同じぐらい不思議である。
ちゃっちゃと食ってDICEの映画館へ。
「バトルシップ」を観る。
ハワイ沖を舞台に、異星人とアメリカ海軍が死闘を繰り広げる。
出だしは青春物的なテイストで、これがなかなか出来が良い。
やがて謎の物体が飛来し、バリバリ、ドガチャカのハリウッド流アクションへ。
しかし、主人公である青年アレックス・ホッパーの成長物語もそのまま残る。
そこで重要な役割を果たすのが、護衛艦みょうこうの艦長ナガタ。
演ずるのは浅野忠信である。
アレックスとナガタは、ことあるごとにいがみ合ってはいる。
しかしナガタは超優秀な人間として描かれ、なんだかんだ言いながらも彼を頼ることになる。
神秘的でタフな日本人よ、一緒に敵と戦おうぜ、的なメッセージだろうか。
娯楽作品であっても、映画は時代を映す鏡だ。
平日の昼間だというのに、劇場は一杯。
中央のメインブロックは満席である。
客の年齢層は当然高い。
映画そのものは若者向けのような気がするので、これも不思議である。
しいて言えば日本人が活躍するのと、終盤(船も含めて)退役後の人達のパワーがさく裂するあたりだろうか。
映画の後は、京急に乗って立会川へ。
久しぶりの「京急本線呑みある記」だ。
ホームへ降り立つと「ようこそ坂本龍馬ゆかりの地立会川へ」と書かれている。
改札を出て、狭い商店街を左へ。
少し行くと、児童公園の脇に坂本龍馬の像が立っている。
昔、近くに土佐藩の下屋敷があった。
時あたかも黒船来航の時代。
江戸を守るため浜川砲台という物がつくられ、若き日の龍馬も警護の任についていたらしい。
龍馬にとって、黒船でやってきたアメリカは脅威であると同時に、大いなる刺激であったはずだ。
そのまま商店街を行く。
居酒屋や立ち飲みなどもあり、そそられる。
道路へ出たら右折。
駅の名前のもとになった立会川にかかる浜川橋へ出る。
浜川橋は別名「なみだ橋」。
昔この先に鈴ヶ森の処刑場があり、罪人の家族が涙ながらに見送ったことに由来する。
ちなみに、この橋を通る道は旧東海道。
歴史の上を歩いているようで、感慨深い。
橋は渡らず手前を左折。
川沿いに歩く。
水の色は不思議な感じの緑で、街中の川っぽくない。
水量も多く、亀が泳いでいたりする。
この川も、昔は汚水が流れていたらしい。
しかし今は、JRが東京駅総武線トンネルに出る地下水を送水している。
多量に出る地下水の処理と水質改善が合致したわけだ。
少し行くと都のポンプ場に出る。
施設へ向かう階段の左隅に「浜川砲台跡」がある。
砲台跡といっても、説明書きといくつかの石が置いてあるだけ。
龍馬の顔出しパネルや、土産物屋も無い。
この石自体2004年に発見された物で、砲台の石垣に使われたのではないかとのこと。
説明書きを読んでいると、プシューという物音が。
さっきまで見ていた映画のせいもあり、不気味な気分になる。
エイリアンかな。
しかしここは砲台跡と言っても大砲なんかないし、まああったとしても撃ち方知らない。
この石でも投げるか。
再度、音がする。
どうやら後ろにある設備から出ているようだ。
左へ行くと勝島運河。
運河の脇で、テレビか何かの撮影をしている。
もしかしたら近くに謎の物体が落下したとか?
その割には緊張感が無いな。
なるべく写りこまないように、そそくさとその場を去る。
左手の角を曲がりこむと船溜まりがあり、釣り船や屋形船が係留されている。
左手は土手。
土手の上は遊歩道になっていて、桜の木が並んでいる。
もうほとんど散ってしまっているが、シーズンにはさぞやきれいだろう。
勝島運河は京浜運河につながり東京湾へ出る。
私は街中へ取って返す。
駅前の商店街を逆にたどり、第一京浜を渡る。
渡った先も商店街。
ちょっと薄暗い。
商店街を抜け左折。
立会川にかかる橋を渡る。
右手(国道方面)を見やると、今日の目的の店「鳥勝」の前に一人のおじさんが佇んでいる。
どうやら開店待ちと見た。
しかし開店時間は4時30分。
今は4時である。
とりあえず川沿いを上流に向けて歩く。
あたりは住宅街。
5~6分したところで川は暗渠になり、その上は遊歩道になっている。
あたりをぶらぶらし時間をつぶす。
しかし観光地や商店街と違って、普通の住宅地を行ったり来たりしていると、不審者と思われかねない。気を付けなければ。
やっと4時30分になり、店の前へ。
開くのを待っていた10人ほどのおじさんたちが、ぞろぞろと店に入っていく。
人気のラーメン屋あたりならともかく、川っぷちの焼き鳥屋では異様な光景に見える。
みんな地元の常連客のようだ。
引き戸は、古びたサッシ。
通りかかってふらりと入るには、ハードルが高い。
店内は、もう7~8割の入り。
手前がカウンターで、奥がテーブル席。
カウンター席の奥近くに陣取る。
カウンターの中には、大将とおかみさん。
客の年齢層も高いが、更にこの上を行く感じ。
店自体は結構広く、2人では大変なのではないか。
カウンターの隅にはメモ用紙のような紙片がある。
隣の人は、そこに注文の品を書いている。
テーブル席の人たちも紙に書いて持ってくる。
店の2人は、注文をさばくのに忙殺されている。
「いらっしゃいませ、飲み物は何にしましょう」てな声がかかる気配はない。
私も、とりあえず紙片に注文の品を書く。
シロ、レバー、カシラ、あぶら一本ずつ(各80円)。煮込み(300円)。生野菜シングル(260円)である。
頃合いを見て瓶ビール(460円)を頼み、メモ書きをカウンターの高いところに置く。
ビールは来たが、メモはそのまま。
別のメモ紙に何やら書き付けた物が置かれる。
カウンターの客のほとんどは口頭で注文している。
またも頃合いを見計らい「これ、お願いします」と声をかける。
やっとこちらのメモが受理され、まず目の前の鍋から煮込みが出される。
この時点で、店側のメモに書き込み。
どうやら出した品を、これで管理しているらしい。
しかし注文は、ひっきりなしに飛び交っている。
これをさばくのは、常人には不可能に思われる。
煮込みはトロトロで実に美味い。
量も多くはなく、酒のつまみとして具合が良い。
ビールが終わるころに焼き鳥が来た。
私の予想よりは、ちょっと早め。
「焼き鳥4本の人」の人と声がかかり、「はい」と手を挙げる。
中身も間違いない。
しかし飲みが進んできて、自分が何を何本頼んだかわからなくなっちゃったらアウトかもしれないな。
そういう意味じゃあ、常連、もしくは上級者向きだと思う。
ビールの後は、ホッピー(340円)。
ここはカウンターの上にメニューなど無く、壁の品書きが頼り。
しかし目の届く範囲には飲み物の表示が見当たらず、あてずっぽうの注文である。
値段は後で調べた。
ジョッキに氷ドカドカ。焼酎ドバドバ
焼酎瓶にはダイヤと書かれている。
ホッピーを注ぐと、半分も入らない。
こりゃあナカ追加のパターンだな。
ナカ追加は危険だが、これだけたっぷりの氷が入っていれば、逆に大丈夫だろう。
焼き鳥は多少小ぶり。
しかし美味い。
これも酒飲みにはうれしい。
あんまり大きいと、色々味わうことができない。
生野菜が来たところで、ナカ追加。
野菜はトマト、キュウリ、レタス。
醤油系ドレッシングにマヨネーズがかかっている。
これがまたシャキシャキとして良い感じ。
焼き鳥も残っているので、交互につまむ。
最初はちょっと面食らったが、流れをつかめばなんとかなる。
人気の大衆酒場って、こういうもんだよね。
すべて飲み食いしたら、お勘定。
計 1910円
17時28分のくだりに乗る。
今日は行くところ行くところめちゃ混みだったが、電車だけは空いていた。
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