人はみんな 「素晴らしき哉、人生!」 [映画]
2012年4月11日(水)
上大岡で「素晴らしき哉、人生!」を観る。
監督 フランク・キャプラ
主演 ジェームズ・スチュアート
アメリカでの公開は1946年12月20日
日本公開は1954年2月
クリスマスストーリーなので、アメリカでの公開日は大事である。
以下、ネタバレ。
主人公のジョージは気の良い若者。
頭も良く、世界中を旅し、大学に行き、将来は建築家になる夢を持っている。
しかしその気の良さゆえに、自分の生まれ育った小さな町を離れられない。
中でも一番の要因は、理想主義者の父親が作った建築貸付組合である。
貧しい人向けに低金利で家を建てる資金を貸す金融機関だ。
借主が病気などすれば返済を猶予したりもしているので、父親もその家族も年中ピーピーしている。
したがってジョージも子供の頃からバイトして、将来の学費など稼いでいる。
だが、ことあるごとに組合が足かせとなる。
しかも街にはポッターという悪どい大物がいて、あらゆる物事を仕切っている。
彼の思い通りにならないのは組合ぐらいのものだ。
ジョージ自身には、貧しい人々のために身を粉にするなどという発想はあまりない。
どちらかというと、自分自身が大金持ちになりたい方。
しかしポッターに対する反発と父親に対する敬愛の情から、結局組合を引き受ける羽目に。
ポッター以外の人間からは、誰からも愛されているジョージ。
しかし思い通りにならない人生に、胸の中にはわだかまりがたまる。
やがて決定的なピンチが訪れ、もはやこれまでとやけになる。
「自分など、生まれてくるのではなかった」とつぶやく。
雪のちらつく、クリスマスイブの夜。
はたして何が起きるのか。
何度見ても泣ける。
人の善意に救われるラストより、それまで静かにあきらめてきたジョージがついに爆発し、小さな子供たちに当たり散らすあたりが、ひときわ泣ける。
あたるところを間違えている。
そんなことをしている間に金策に手を尽くすべきなのだが、頭がいっぱいになっちゃっているのだ。
実はこの解決方法は、すでに宿敵ポッターが示唆している。
しかしそれに頼らなかったのは、ジョージの中にもどこかポッターと似たような部分があるのではないかと思った。
庶民のために働きながら、どこかその人たちを信用していない、みたいな
意識的にか無意識にか、ポッターはジョージの中に自分と同じものを観ていたような気がする。
だからこそ、ジョージが継ぐならばという条件で組合の存在を許したのではないか。
その後も異様にジョージに執着するのは、家族がいないらしいポッターの歪んだ愛情の裏返しということも考えられる。
天使の見せたIFの世界は、ジョージの中にあるポッター的なものを突き崩すためにあったわけだな。
さっきからジョージ、ジョージと書いていたせいか柳ジョージの「プリズナー」を思い出した。
YOU TUBEでもいいから聴いてみてくれ。
泣けるから。
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