雲間から差し込むのは希望の光 BONNIE RAITT「SILVER LINING」 [ROCKでいこう]
2011年12月30日(金)
ボニー・レイットは1949年、カリフォルニア州バーバンクに生まれる。
父親はブロードウェイのミュージカル俳優、ジョン・レイット。
ボニーも子役で、映画に出たことなどあったらしい。
ブルースマン、フレッド・マクダウェルにギターを教わり、1971年「BONNIE RAITT」というブルース色の強いアルバムでデビューする。
その後、紆余曲折があり、身を持ち崩したこともあったが、心機一転レコード会社を移籍。1989年の「NICK OF TIME」でグラミー賞をとってからは順風万帆。
ロックの殿堂入りも果たし、今や大物ミュージシャンとしての風格さえ漂っている。
あまり自分で曲を作ることはなく、といって美人でもない。
それでも、アメリカのルーツ系ロック・ミュージックが好きな人は、たいていボニー・レイットが好きなんじゃあないかと思う。
女だてらに格好良いスライド・ギターを弾くというのが、ロックファンの琴線に触れるようだ。
ディスク・ガイドなどでは2枚目の「GIVE IT UP」か3枚目の「TAKIN‘ MY TIME」が名盤として紹介される。
だが、一般的に名を知られるようになるのは、先に挙げた「NICK OF TIME」および次作の「LUCK OF THE DRAW」(1991年)あたりから。
私が知ったのも、その頃だと思う。
ちょうどルーツ・ミュージックが見直されてきた頃であり、時流に合ったという見方もできるな。
ちなみに「TAKIN‘ MY TIME」から「NICK OF TIME」の間は一般的に低迷期と呼ばれている。
とはいえ、その頃のアルバムをあらためて聴いてみれば、どれも素敵なものばかり。
「HOME PLATE」や「SWEET FORGIVENESS」など、個人的にはとても好きである。
しかし、今回取り上げるのは、2002年のアルバム「SILVER LINING」。
「TAKIN‘ MY TIME」から3作ドン・ウォズのプロデュースが続いたが、1998年の「FUNDAMENTAL」からは、ミッチェル・フルームと組むことに。
その第2弾が「SILVER LINING」である。
もっとも、ミッチェル・フルーム(およびエンジニアのチャド・ブレイク)と組んだアルバムは、これしか持っていないんだけど。
うす膜がかかった感じの「NICK OF TIME」に比べると、ざっくり、くっきり。
アフリカ音楽などもやっていて、攻めの姿勢が心地よい。
元々ブルースやら、ゴスペルやら、ファンクやらが血肉となっているので、展開として自然である。
このアルバムのあとオリジナルのスタジオ盤としては2005年の「SOUL ALIKE」があるのみ。
後は企画物に駆り出されたり、ライブをやったりして往年のブルースマンのように活動を続けていくのだろうか。
まあ、それでも良いような気がする。
買い残しているアルバムも結構あるので、これからこつこつ聴いてゆきたい。
欲を言えば、サニー・ランドレスあたりと組んで、一発、いかしたアルバムを作ってくれたら、なんて夢も見るけど。
さて、ここいらで今年の音楽関係のまとめを。
年の初めは、ブルースなど聴いていた。
それからファンク(ブリック、ブラス・コンストラクション)やアーバンなソウル(ルーサー・ヴァンドロス)などなどに進み、黒人音楽まっしぐらかと思われた。
しかし54になったのを機に始めたダジャレ企画「ロックでいこう」にはまってしまい、最近はそっち方面ばかりだ。
最初の頃はビートルズやキンクスなども聴いていたのだが、結局アメリカ・ルーツ系へ。
最近は今回取り上げたボニー・レイット、それにJ・ガイルズ・バンド、ウォーレン・ジヴォン、タジ・マハールといったあたりをよく聴いている。
タジ・マハール以外はタワー・レコードが自社企画でCDを出しており、しかも年末にはセール価格になっていたので、結構買ってしまった。
それらにプラス若い世代では、ロス・ロンリー・ボーイズが面白い。
サンタナとレイボーンをたして、3で割ったような感じ。
ロス・ロボスやオールマン・ブラザーズ・バンドを、引き合いに出してもいい。
ラテン&ブルース・ロックてな感じ。
ただし上に挙げた人たちのようなスケールの大きさや、凄みはない。
切れの良いパンチと、フットワークが売りの中量級ボクサーみたい、といえばわかりやすいか。
ちなみに「あらためて聴いてみて良かったで賞」は、J・ガイルズ・バンド。
「これから楽しみで賞」は、先のロス・ロンリー・ボーイズ。
「期待した割には拍子抜けだったで賞」は、マーク・ブロウザード君に差し上げたいと思う。
まあ、マーク君に関しては、もう一枚ぐらいお付き合いするかもしれない。
この辺は、気分次第ということで。
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