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丸腰探偵 ジョージ・P・ペレケーノス「魂よ眠れ」 [本]

6月14日(火)

 ジョージ・P・ペレケーノス「魂よ眠れ」読了。
 ワシントンDCの黒人探偵デレク・ストレンジ・シリーズ第3弾。
 前回のラストで逮捕されたギャングのボス、グランヴィル・オリヴァーは、現在も拘置所の中。
 
デレクがグランヴィルと面会するところから、話は始まる。
 おじ殺しの容疑で、つかまっているグランヴィル。
 政府は彼を死刑にすべく、特定の考えを持った陪審員団を編成。
 デレクはグランヴィルの過去に関する、個人的な思いもあり、弁護のために働いている。
 30年以上前にデレクは、グランヴィルの父親を殺しているらしい。
 そのため彼が道を誤ったのも、自分に責任があると考えている。
 このあたりは前作のラストでも触れられていて、前作と今作は一つながりである。
 もっともその詳細については結局今回も明らかにはされず、次回持ち越しという、もって回ったやり方。
 ちなみに今回は、別シリーズの主人公であるニック・ステファノスという探偵も出てきている。
 解説によると、他にも色々あるらしい。
 私はこのシリーズしか知らないので、どうにもピンとこないのだが。
 しかしこの手の趣向ってのは、作者は楽しいかもしれないが、読者にとっては厄介な気分にもなるんだよなあ。
 何せペレケーノスの過去の作品は、どんどん絶版になっているのだ。

 とはいえ話自体は、今回も面白かった。
 ゆるくつながっているとはいえ、一作ごとにテーマのような物があって、「曇りなき正義」では麻薬、「終わりなき孤独」ではティーンエイジャーの売春、そしてこの「魂よ眠れ」では銃器の問題がクローズアップされている。
 「終わりなき孤独」では、社会の暗部を弾劾するだけでなく、デレク自身が風俗通いをやめられない男という設定。
 で今回、自分の弱さを埋めるために銃に頼る男として描かれているのが、好漢テリー・クイン。
 しかし、デレクが風俗通いを克服して所帯を持つまでになったのに、テリーの場合は・・・。
 うーん、あれは無いよなあ。
 
 まあそれはさておき、私は次作の「変わらぬ哀しみは」を最初に読んで、そこからハマっていった。
 あれは時代も昔の話なので、不都合は無かったのだが、本来はやはり発表順に読むのが正解だ。
 ところが、既に二作目の「終わりなき孤独」は絶版。
 おそらく他の作品も、風前の灯だろう。
 一番最後まで残るのは「変わらぬ哀しみは」かな。
 そうこうしているうちに、電子書籍の時代がやってくるんだろうな。
 


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