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じんわり 藤沢周平「竹光始末」 [本]

6月27日(日)

 時代小説十番勝負その八は、藤沢周平「竹光始末」。
 表題作は、こんな話。
 主人公は浪人。
 妻と子供二人を連れ、流浪の日々。
 仕官の道を求め、海坂藩のとある屋敷を訪ねる。
 色々あり、仕官がかなう。
 これで女房子供を飢えさせないですむと思う反面、風に吹かれて旅をした日々が、懐かしく思われるのであった。
 つまり、腕が立ち、家族に恵まれ、仕事があっても、人間気苦労は絶えないということだ。
 それが気苦労どころか、狂気にまで行っちゃうのが「乱心」。
 じんわりとした怖さに、背筋が寒くなる。
 この、じんわりというのがキーワードかな。
 じんわりと面白く、じんわりと切なく、じんわりと恐ろしい。
 ラスト近くに動きがあって、おおと思わせ、またすーっとじんわりに戻る。このあたりが上手い。
 次は長編も読んでみたい。


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