どっこい生きてる 山田深夜「ロンツーは終わらない」 [本]
2011年3月7日(月)
山田深夜「ロンツーは終わらない」読了。
横須賀在住異能作家の、長編第二作目である。
主人公の岩山は38歳。
横浜出身で、現在は横須賀で一人暮らし。
わけあって無職。
性格は狷介固陋。
貸し借りにも、うるさい。
バイクが好きで、ツーリングもよくする。
そんな岩山が真夏の青森のキャンプ場から発とうとすると、一人の青年が声をかけてきた。
青森の実家から東京のアパートまで行くのだと言う。
ヒッチハイクならお断りとすげない岩山だが、ちょっとしたいきさつから近くの駅まで乗せていくことに。
と、その前に立ちはだかったのが、ベンツに乗った龍野兄弟。
果たして彼らの目的は。
作者の得意分野である「旅」がテーマ。
それは物理的な移動だけではなく、未来に向かって生きるということも意味している。
特筆すべきは、「電車屋赤城」で影を潜めていたユーモアが復活していること。
やっぱり、こうじゃあなくっちゃね。
泣いて、笑って、喧嘩してが、本来の持ち味だ。
走るフォームが、のびのびしてきた。
短編作家としてデビューした氏だが、おそらくこのまま長編を書き続けることになるのではないか。
基本的に一球入魂主義なので、そのほうが打ち込みやすいだろうし。
私としては、あの独特の短編も書いてもらいたいのだが。
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