ミステリーってなんだ クレイグ・ライス「スイートホーム殺人事件」 ドナルド・E・ウエストレイク「泥棒が1ダース」 アガサ・クリスティー「秘密機関」 [本]
2009年10月18日(日)
「ミステリーって、なんなんでしょうね」と言ったのは、Y氏である。
確かに、ツイストの効いた短編から疾風怒濤の冒険物語まで、ミステリー小説として売られている小説の範囲は広い。
もっとも私はミステリーの良い読者ではない。チョコチョコつまみ食いしてるだけ。
シャーロック・ホームズは面白かったが、エラリー・クイーンも、松本清張も、チャンドラーもピンと来なかった。
でも、なんとなく格好良いような気がして、憧れみたいなものはある。
この際、少しまとめて読んでみよう。
まずは、クレイグ・ライスの「スイートホーム殺人事件」。
ユーモア・ミステリーだ。
殺人事件とその捜査と言う構成はオーソドックスなのだが、探偵が子供たちなのがミソ。
14歳と、12歳の女の子と、10歳の男の子の3兄弟。
母親はミステリー作家。女手一つで子供達を育てている。
偶然、隣家の殺人事件を目撃した子供達は、母親の宣伝になると考えて、自分達で捜査を始める。
当然、警察も動いているわけだが、子供達はそれに協力するどころか、捜査の邪魔をする。警察が事件を解決しては、母親の宣伝にならないからだ。
考えてみりゃあひどい話なのだが、読後感が爽やかなのは、この作者の腕だろう。
次は、ドナルド・E・ウェストレイクの「泥棒が1ダース」。
ついてない泥棒、ドートマンダー物の短編ばかりを集めている。これもユーモア・ミステリー。
私がドートマンダーシリーズで最初に読んだのは、角川文庫の「強盗プロフェッショナル」。
シリーズ二作目なのだが、実に面白かった。
その後、一作目の「ホット・ロック」、三作目の「ジミー・ザ・キッド」と読み進む。「ホット・ロック」は冗長。「ジミー・ザ・キッド」は、まあ面白いと言った具合。
ハヤカワ文庫に移ってからも読んでいたけど、最近はいささか食傷気味。なんだか同じ所をグルグルまわっているような気がするのだ。
そういう意味では、短編の方がスッキリして読みやすい。ただ様々なキャラクターの面白さみたいな物は無いわけで、初期の3作ぐらいは、読み返すことがあるかもしれない。
そして、アガサ・クリスティーの「秘密機関」。
トミーとタペンス物の第一作。といっても私は、クリスティーって初めて読むんだけど。
舞台は、第一次世界大戦後のイギリス。トミーとタペンスは2人たしても45歳にならないと言う素寒貧の若者だ。
トミーは男性、タペンスは女性で幼馴染。それぞれ別の人生をあゆんでいたが、戦中、タペンスが看護婦をしている病院に兵士であったトミーが負傷して入院したことがある。それからまた離れ離れになり、戦後のロンドンでバッタリと再開したわけだ。
青春冒険小説といった感じ。特にタペンスの方が、若さだけを武器に無謀に事件に飛び込んでいくので、そこにユーモアが生まれる。
一昔前の日本映画なら、吉永小百合がピッタリ。となると、当然トミーは浜田光夫になる。
東宝なら、タペンスは星由里子。トミーは加山雄三だ。いつもはハチャメチャキャラの若大将が、今回だけはスミちゃんに振り回されっぱなし、なんてのも楽しいような気がする。
さて、次は何を読もうかな。
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